ベルギーは無政府状態が2010年6月の総選挙以来続いていた.541日の無政府期間は約8ヶ月ぐらい前にギネス世界記録として登録されて以来、ずっと記録更新を続けやっと記録に終止符が打たれそうだという.(今日にも発表されるはずだが・・)

あまりに長い無政府状態は、欧州委員会も我慢の限界が来て、2012年度予算設定の期限を決められ、それでも予算の設定(=組閣)ができなければ莫大な罰金を課すると発表した.そしてやっと先週全ての党が合意した.もたもたしていたのは大臣の数とオランダ語圏とフランス語圏の割合の話し合いが縺れていた.

長い間中央政府がなくても社会が巧く回っていた理由は:
中央政府以外のそれぞれの言語などで別れている4つの地方政府・行政が、中央政府があろうがなかろうがちゃんと機能しているからだ.(もちろん予算に関しては中央政府が主権をもっているが)

4つの地方政府とは、北の(蘭語)フレミッシュ政府、南の(仏語)ワロン政府、ドイツ語政府、そしてブリュッセル政府.

ベルギーの政治はとても複雑で、その歴史を考慮しないと理解できないので、簡単な歴史(私的偏見を含める)を説明すると:
国として独立したのは、1830年にオランダから独立.
それまでは、他の欧州と同様沢山の貴族たちが様々な町や地域を領土としていた.ブリュッセルがあるブラバント地方は、ブラバント伯爵の領土、北部はフランドル伯爵の領土、など等.
1790年には一時ベルギー合衆国が作られるがすぐに滅ぼされる.そして、フランス革命以降、ナポレオンが率いるフランス革命軍に支配される.ナポレオンはオランダやドイツ、イタリアの一部まで一時は支配する大帝国を築いたが、1815年ブリュッセル郊外のワーテルローでイギリス軍との交戦で敗北し、島送りなった.
オランダはナポレオンに苦戦していた間、アメリカ、アフリカなどの植民地を英国に委任していたが、英国がナポレオンに勝つとそれまでオランダ領であった南アフリカとニューヨークを含めた米東海岸地域と譲り受ける代わりに、現ベルギーをオランダ領にしてしまった.
オランダ領になってしまったベルギーはとても荒らされ、オランダ支配に国民の不満が募り、1830年ブリュッセルから反乱戦争が始まり、勝利した.仲介に入った英国の助言により、ドイツ貴族、レオポルド1世が初代国王に就任.ベルギーの大多数がカトリックでオランダのカルヴァンプロテスタントという宗教対立と当時繁栄していたフランス語圏の上流、中流階級が起こした革命であったこともベルギー革命の特徴だ.

数年後にオランダと交わした平和条約の中に、オランダが「ベルギーが永世中立を守る」という項目を条件にした.これはフランスとベルギーというカトリック国家が共謀してオランダを攻めてくることを警戒したからだ.そして、カトリックの国の王になったドイツ・プロてスタントの王は欧州大陸型フリーメーソンであったことも現在のベルギーが世界でも稀に見る「宗教色が薄い」社会となった理由だ(←ごく私的見解)

独立から第一次世界大戦ごろまで、ベルギーは英国に次いで「世界第2位の経済大国」だったことはあまり知られていない.1990年代に倒産してしまったベルギー国営航空は英国に次いで古い歴史を誇っていた.横浜など日本各地の市電の線路や車両もベルギー製であった.ワロン地方では石炭を始め鉄や銅、すずなどの炭坑が数々あったこと、元々はベルギー国王の私有財産であったアフリカの植民地などから原料が安く入ってきたので、空前の富と高い技術力で世界中(東欧、ロシア、米国、アフリカ)へ投資し現地工場などを持っていた.その富の中心はベルギー南部に集中し、北のフランダースやイタリア、ギリシャなどから、南部のワロン地方に多くの人々が出稼ぎや移民としてベルギーに来た.これから首相になるエリオ・ディ・ルポの両親は、戦後こうした炭鉱労働者として戦後ベルギーに来た移民だ.7人兄弟の末っ子で唯一のベルギー生まれ.父親はエリオが1歳の時に亡くなり、貧しいが為に7人の内3人は近くの養護施設で育ったという.

1960年のコンゴルワンダ、ブルンディのベルギー領植民地の独立、炭坑が次々に閉鎖したこと、そして日本からの工業製品、クルマやバイクなどが進出してきたことで、ベルギーの国力が急速に低下していった.ベルギー製の高級車やバイクがあったのはご存知だろうか?ミネルヴァはロースルロイスに匹敵する高級車だったし、武器製造業のFN(ファブリークナショナル)はバイクやクルマも製造していた.1968年にはフランスや他の欧州の国々と同様に学生運動が勃発.それまではベルギー中の大学の講義はフランス語のみで行なわれていたが、72〜73年頃にはフランドル地方の大学ではオランダ語が採用されるようになった.北のオランダ語圏にある古い都市、アントワープブルージュ、ゲントなどの社会の上層部の人々はすべて家でも学校でもフランス語を使い、大学もフランス語であった.私と同世代の人々(今回の首相になる人)にはオランダ語教育はわずかに小中でやる程度、それほど重用視されてはいなかった.同時に南部には資源がなくなり、それまで出稼ぎに来ていたフランドルの人々は北へ戻った.徐々に北のフランドルの人口が増え、新興企業や工業が盛んになり、南部は反対に工業の衰退に比例し、人口も減っていった.現在は58%がオランダ語フランドル地方、31%が南部のフランス語圏ワロン地方(ドイツ語圏は0.73%)11%が混血またはそれ以外の移民など人々.

その後93年にベルギーは「連邦立憲君主制国家」フランドル行政政府とワロン行政政府の連邦制になった.今回やっと政府ができることになったが、フランス語圏からの首相は40年ぶりという.ディルポ氏は上記に書いたようにイタリア移民の子供で、ベルギー社会党の党首だ.化学博士で米国で研究もしていたという.ディルポ氏は自称ホモでもある.彼の最大の弱点は、オランダ語が堪能ではないということだが、ベルギーの首相が大多数の人々が話す言葉が堪能ではないというのは問題が大きい.オランダ語でスピーチをしたり、記者会見もある程度こなすが、例えばオランダ語での政治討論会などには問題ありだ.それでも言語学者や専門家達は勉強次第で堪能になれるとしている.オランダ語圏の人々も大体寛容的だが「もっと勉強してほしい」という人々は多いが、中にはオランダ語圏の右翼には許されることではないらしい.

世界ではベルギーの言語戦争などと助長した報道がなされているが、現実の社会ではほとんど対立はない.というか政治的に作り上げられた感もある.数年前に当時の首相がテレビの生放送のインタビューで、その日がベルギー独立記念日というのも知らなく、ベルギー国歌を少し歌ってくださいという要請に隣の国(フランス)の国歌を歌ってしまった.批判はあるが、ほとんど「自分だって国歌なんて知らない、大体にしてベルギー人がオリンピックで金を獲ることもないから、だれも国歌を知らないなんて普通のこと」となんて寛容的な国民かと私だってびっくりするほどだ.第一国営テレビが「北のフランドル地方が独立宣言をした.国王は旧ベルギー領のコンゴへ亡命した.」とまじめに放送したら大混乱になったりと、何かこの国は面白いことばかり起る.70年代にベルギーに就職したが、その頃から「経済危機、政治危機」の言葉はベルギーのニュースで聞かない日はないぐらい、普通のことになってしまった.去年の今頃は「ベルギー独立以来の政治危機」みんな真剣にベルギーが無くなる日を想定し、北は独立、南部はフランスに併合されると覚悟をしていたのに・・ブリュッセルも北とは別に独立を考えていた.フランドル地方政府はブリュッセルまで組み込みフランドルの首都をブリュッセルにしたかったが、ブリュッセルがフランドルに付くということは考えられない.

さて、この無政府だった間(541日間)、だれに聞いてもこの間は何十年ぶりに社会が一番巧く行っていると言っていた.確かに何の問題もなく、普通にみんな生活していた.ということは中央政府は本当に必要なのか、という疑問が湧いてくる.

以下のビデオはベルギーの政治体制を説明するとても良いビデオ.以前これに日本語訳を付けたので、参照してください:

日本の捕鯨の問題は、過去数十年に渡り官僚と実際に捕鯨を実行している(財)日本鯨類研究所の一方的な(ウソの)情報しか掲載しないメディアに責任がある.

Noro153+EN2011-11-08


私自身は特別に捕鯨に興味があったわけではなく、世界の普通の人が知っている環境問題の一つだった.ところが興味を持つ切っ掛けになったことは、日本の報道が伝えていたことが、世界とは逆の情報ばかりだったことだ(一般的な環境問題もどういう訳か世界とは違う・・・).

原発事故は大きくなってしまい、被害者が沢山でていることで、政府や東電の発表に「いや、それは違うでしょ」と疑う人たちの声が大きくなり、様々な議論や専門家たちの意見を聞くようになった.TPPの問題も現実に特をする人や損をする人たちや様々な専門家の意見が頻繁に出ているので、世論調査でも半々ぐらいに賛成・反対が居るようだ.

ところが捕鯨に関しては、全く異論の出る余地がない.特にほとんどの人々にとっては痛くも痒くもない、関係ないこと、政府やメディアに異論を言うものは、非国民というメディアの誘導で、国民が一丸となって「捕鯨という日本国の伝統を守る」ことが正論となってしまったようだ.

その「伝統」の話をする前に、昨晩書いた9つの理由の裏付けを紹介する.残念ながら日本語ではないが世界ではどれだけそれぞれが問題になっているかを簡単に明記する.

環境から見た捕鯨が問題になり始めたのは、1970年代.地球全体の環境が問題になり始めた頃だ.そして1986年には「永久モラトリウム」商業捕鯨の禁止が決められた(IWC国際捕鯨委員会)日本は徹底的に反発したが、勝ち目がないのが解ると一転賛成した.その代わり「調査捕鯨」を承認させ翌年から「調査捕鯨」を開始した.科学者や専門家が「科学的調査」をすると必ず論文を発表する.ところが鯨類研究所は今まで一度もまともな論文を発表していない.ここでいう論文とは、ピアレビュー(査読)という真剣な論文のことで、鯨類研究所のサイトにあるようなエッセーなどではなく、同業の専門家たちが読んで意見を言ったりできる文章のことを言う.


去年の6月頃に全世界を賑わせたニュースも日本には伝わらなかった.長いこと噂されていた「日本が賄賂や売春婦、経済援助などを提供し、その代わり日本側についてもらう、票買いが証明された」英国の「The Sundy Times」が6カ国の代表からの証言を録画し、世界に発表した.これに関して英語圏だけでも140万以上の記事が出てくる.

5〜6年前には、30数カ国が共同で日本政府に対して、勧告書を渡した.内容は「1986年の商業捕鯨禁止以前の31年間で日本が「調査」目的で殺したクジラは全部で840頭だ.そして商業捕鯨禁止以降現在までの18年間ですでに6800頭以上のクジラが「調査捕鯨」と称して殺された.毎年より多くの数のクジラを自分たちで決めた割当数として殺すことは、なんら科学的な根拠はない.数カ国はアイスランドノルウェーが(ワシントン条約で決められた)絶滅危惧種のクジラ肉を日本へ輸出していると考える.それはほんの少しだけ売って、残りは無料で人に譲るか、ペット用か倉庫に貯められている(売れなくて6千トンが倉庫で眠っている).下記の国々は、違法な捕鯨を止めさせるべく投票した.そしてこの捕鯨3カ国に対して今後も続けて、国際条約の違反行為を止めるまで反対する.」 - オーストラリア、アルジェンティナ、オーストリア、ベルギー、チェコ、チリ、コスタリカクロアチア、フランス、ドイツ、ギリシャアイルランドルクセンブルグ、メキシコ、モナコ、オランダ、サンマリノスロバキアスロベニア、スペイン、ブラジル、フィンランド、イタリア、ポルトガルウルグアイスウェーデンニュージーランドイスラエルアメリカ、エクアドール、英国.

日本だけではなく、アイスランドノルウェーにも外圧が同様にかかっているが、日本との違いは、日本は遠い南極で違法な捕鯨をしている.他の二つの国々はそれぞれの海域だけで捕鯨をしている.日本は国際捕鯨委員会が決めた「捕鯨禁止海域・クジラ保護海域」で捕鯨をしている.

上記の国々の他でも例えばロシアのプーチンは「日本の違法捕鯨を阻止するシーシェパードを応援する」という声明も発表している.

前シーズン中、日本の捕鯨船団がチリ海域に入ろうとしていた時、チリは即海軍を出動させ、日本に対して遺憾の意を表明した.数日後には、他の南米の国々、アルジェンティナ、ブラジル、チリ、コスタリカ、エクアドール、メキシコ、パナマ、ペルー、ウルグアイが共同で声明文を発表したシーシェパードはこれらの国々と連絡を取り合い、実際にチリ海域に入ったという証拠写真も私の目の前で撮られた.

オーストラリアは長年に渡り日本の違法な捕鯨を止めさせようとしてきた.最高裁判所でも日本にオーストラリア海域での捕鯨を禁止しているが、日本は一向に守ろうとしない.そこで数ヶ月前には、オランダのハーグにある国際司法裁判所へ上告した.判決が出るのは数年先という.


学校給食に水銀に汚染されたクジラ肉を出していることも世界ではショッキングなニュースで、検索すると270万の記事(英語圏のみ)が出てくるが、日本ではあまり問題にされていないようだ.放射能汚染から子供たちを守ろう、というスローガンと同様に水銀汚染のクジラ肉も食べさせてはいけない.

昨日書いた政府からの補助金の金額が間違っていると指摘されたが、幾つかのサイトが違う金額をかいている.共通していることは、普段より多い税金が投入されるということ

最後に一番言いたいことは、日本で報道される捕鯨の報道は全てウソか湾曲されているので、正しい情報はほぼ皆無.シーシェパードは世界では認められた海洋環境保護団体だ.日本でいう「エコテロリスト」とは昔はグリーンピースに対して使い、グリーンピースが実際の反捕鯨キャンペーンから去った現在はシーシェパードに対して、日本メディアだけが使っている用語だ.-->>続く

日本の南極での違法な捕鯨は世界中から非難され続けているが、日本のマスコミは全く真実を伝えていない.私は前回の南極捕鯨シーズン(2010年11月〜2011年3月)まで環境保護団体シーシェパードの通訳として5ヶ月に渡り、南極での船上生活をした.

Noro153+EN2011-11-07


今年も日本はすでに南極への違法な捕鯨のために国民の血税から、715,000,000円の予算を用意した.この額は通年の54%増しだ.日本政府の原発事故の対応は、捕鯨にも同様に当てはまるが、違いは、原発事故は被害者たちが日本国内に沢山いることで、政府のウソなどに声を上げる人々が大勢居る.捕鯨の場合は100%のメディアは日本政府と官僚側のニュースしか出さないので、実際はどうなのか、海外の人々やメディアはどう伝えているのか、ということは全く国民には知らされていない.そのために誤解している人々が沢山居るので、ぜひ真実を知ってもらいたい.

まず日本の捕鯨が非難されている理由(下記の記事にも明記している):

  1. 南極海クジラ保護海域でのクジラの密猟である
  2. 絶滅危惧種に指定されているクジラを殺している(ワシントン条約絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約に違反している)
  3. オーストラリア連邦政府・最高裁の「オーストラリア海域での捕鯨禁止命令」を無視している
  4. 1986年にIWC国際捕鯨委員会)によって定められた「商業捕鯨の永久モラトリウム」違反、及び再三のIWCからの勧告通達を無視している
  5. 「調査」と称した商業捕鯨である→調査捕鯨を開始して以来(1987年〜)一度も調査・研究発表をしていない
  6. 倫理的理由:数時間に渡る苦しみの後死に至る、残酷である
  7. 60年前には、45カ国が常時南極で捕鯨をしていたが、現在では日本だけだ
  8. クジラを絶滅させることは、世界中の海の生態系を壊すことになる.ひいては人類絶滅に繋がる
  9. クジラ肉の需要を作る為に助成金を出し日本各地に「クジラの町」を作ったり、水銀汚染のクジラ肉を学校給食として子供たちに食べさせている

+

以下の記事は、2月に書いた記事でかつての「野毛の仲間」が出版した「ハマ野毛7号」に掲載してもらったもので先ずはそれを読んでください.数回に渡りこのことを書きたいので、真っ当な質問はぜひ書き込んでください.

人種差別や性差別を無くそうと世界では様々な法律が制定され、幼稚園からそういう教育がされ始めて久しい.科学的に「人類は皆同じ」で上下の差はなく、白人も黄色人種もインディオも黒人もみな出身地はアフリカだ.

Noro153+EN2011-10-28


フランスの大統領の出身地はギリシャユダヤ人だそうだ.ベルギーの首相に一番近いところにいる人はイタリア人、まだ無政府で首相になれないのは「語学力不足」が問題になっているから.
何々人は他の人種より知能が高いとか、優秀だとか、何人はきれい好きだとか、何人は不潔とかも同様に迷信かメディアが作り上げる洗脳だ.日本のメディアは、日本にとって都合の良い、美味しいニュースまたはそのように湾曲させたニュースしか知らせない.もう多分40年はこのように(スポンサー企業や官僚保護のため?)自主検閲をしてきたように思う.

以前の日記に掲載したドイツのユーチューブビデオ(犯罪企業東電)の最後に「日本では相手に直接質問することは非常に失礼になるから聞くな」ということをジョークとして終えている.で、私も良く「なぜ攻撃する?」と誤解される.

例えばある人が「苔の文化を持っているのは、繊細な日本人だけで、欧米人には苔の良さは解らない」と言ったことに対して、私は次のような質問をした.「何を根拠にそのように断言するのですか?あなたはそのように断言できるほど、欧米人と日本人の苔文化の理解度や違いを勉強したのですか?」と質問したら、別の友人が即「攻撃は止めてくれ、少なくともここでは.」となり、この友人も失ってしまった(何度も似たようなことがあったので)

私が聞きたかったのは、それなりの外国生活で「苔」というものが外国人には理解されていないことを経験してそのようにいうのか、どこから迷信のようなことがその人の脳裏にあったのか.私の日本での生活経験から、同じように間違った「外国に対しての固定観念」を持っている人々が非常に多いのに気がついた.そのような間違った固定観念は、様々なメディアが人々をそのように洗脳したからだ.長年の洗脳は一体どこが発祥の地なのかも解らないぐらい人々はお互いに洗脳し合うようになってしまった.だから「そう思うのは常識」その間違った常識に異議を唱えると「攻撃」になってしまう.

もう一つの例は「日本人は世界一手さき、指先が器用」という迷信.私は日本に戻るまでの数年、趣味が講じてブリュッセルのど真ん中で「和紙と世界の手透き紙」のお店をやっていた.そこでは毎日のように様々な紙工芸教室を主催していた.折り紙、和綴製本・・等.そして日本に戻った頃飲食店をやりながら、時々紙工芸教室をやったが、5〜6回であきらめた.日本では和紙の良さを解る人が少ないのと一般の人々の不器用さに恐れをなしてしまった.当時よく「日本人が器用だと言うのは迷信」などと話をしていたが、日本には実に沢山のメディアが作り上げた迷信が存在する.怖いのはそれを本当に「常識」と勘違いしてしまうことだ.

同様にメディアが作り上げた幾つかの例を挙げると:
・日本人は清潔好きだが、外人は汚い.
・日本は犯罪は少ないが、外国は危険だ(警察が被害届を出しにくくしているのと数字のねつ造・・)
・日本は高度な医療が完備、外国の医者はレベルが低い
・日本人は特別に優秀で勤勉だ、後進国の人々は怠け者だから貧乏、など等

日本人であろうが、白人や黒人であろうが同じように器用な人もいれば、不器用な人もいる.そして日本人にも白人にもどの人種にも同様に清潔好きな人と汚い人がいる.日本人だからどうこうという発想をもう止める時期ではないだろうか?文化の違いはあっても人種に上下はない.ただし、もし本当にに本では「相手に直接質問することは無礼」であるとしたら、本当の民主主義は成り立たない.

最近話題になっているオリンパス光学の不正経営のことは、外人の社長だったからまずかったのだろうか?FBIやスコットランドヤードなどが、日本の会社を叩く為に調査をしている訳ではない.世界を又に駆ける大会社の不正が見つかり、偶々その本社や発祥の地が日本であったというだけだ.

アフリカの後進国からノーベル賞が出てないからといって、その国の人々は頭が悪い訳ではなくて、社会環境や教育システムが整っていないだけだから、先進国が手助けをするのは当然のこと.ケニアで某石油会社が非常に酷い石油垂れ流しを長期に渡り無視し、環境が汚染された.今後何十年かかる清掃作業も人々への賠償も世界の環境問題の活動家たちが指摘しなければ泣き寝入りになっていたかもしれない.日本の原発事故も世界のメディアやまともなジャーナリストたちが、記事やネットやテレビ番組にしたからこそ日本の官僚や東電はウソを通せなかった.勿論日本で沢山の人々の健康や生活被害が出たことで外国メディアが注目されたからだが.世界の人々が「人類の問題」として見ているのに、日本では相変わらず鎖国的発想が常識となっている.

日本の権力3兄弟(メディア、官僚、大企業)にとっては、学校でみなが本当の「人権や民主主義」を勉強することは望んでいない.教育機関は企業戦士と消費者を作ることにだけ専念し、一番大事な「人権平等民主主義」を教えることが蔑ろになったしまったように思う.

来週は世界経済フォーラムの「男女平等指数」という統計が発表されるはず.日本のメディアは、日本の恥になることは記事にしないか、湾曲させるはず.是非原文で読んでほしい.日本は相変わらず100位前後であろうと予想する.どのようなことが性差別を生んでいるか多分沢山の人が解っていない.これも典型的なメディアによる洗脳だ.女性を商品にしていれば儲かるから.痴漢の存在、女性が商品になること、会社で女性管理職が極端に少ない、女性政治家も少ない、法律で女性が守られていない・・・このようなことが日本の男女平等指数を下げている.

人はどの人種でも平等で地球市民だ.もう一度「日本国憲法国連憲章世界人権宣言」を確認してはどうだろうか?私には日本政府がこれらを守っているとは思えない・・・

国連憲章、前文:
われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。

日本や米国でにわかに話されている「陰謀論」などに、よくフリーメースンが出てくるが、私が知っているベルギーのフリーメースンとは明らかに違うので再度調査してみた.元々教典のようなものは無い上ドグマや信条、定説などを嫌う組織(ベルギーでは)であるが、調べてみると実に様々な歴史や解釈などがあることに驚いた.ここには簡単な世界のフリーメースンのことと、ある程度詳しくベルギーのフリーメースンのことを明記する.昔数名のベルギーフリーメースンが友人(現在は全員他界している老人)だったことと、数週間前に初めて今年オープン

Noro153+EN2011-10-26


フリーメースンとは:
多分簡単に言うと、ライオンズクラブロータリークラブのような集まり.この二つは約100年前に米国で企業人によって作られた(ビジネス関係)団体だが、フリーメースンは記録に残っているだけでも300年以上(ある記録からは千年以上)の歴史をもった、人類の繁栄を追求する団体だ.ライオンズクラブなどと同様にチャリティのようなことをするグループや意見交換をするグループがあったりする.ライオンズクラブなどは、自分たちの作ったものや功績を惜しみなく表に出し、披露することにも熱心だが、フリーメースンが広まった時代は思想的に自由でなかったこともあり、表にはほとんどでないことが伝統のようになり誤解が生まれ易くなった.

フリーメースンという言葉の定義:
メースンという意味は、「熟練したレンガ・石積み職人」のことだ.そしてフリーとは教会や貴族などの権力者たちから独立した、奴隷ではない「自由の身」であるいう意味.中世欧州はキリスト教会と貴族が社会のほとんどを牛耳っていた時代で、様々な技術を持った職人たちが組合を作り、自分たちの独立した立場や貴族や教会などの権力支配からの自由を守っていた.特にレンガ積み職人は、キリスト教会が教会や大聖堂を作るにも貴族がお城を作るにも高度な技術を持った職人が必要とされていたので、職人組合の中でも高い地位と自由が与えられていた.レンガや石を積むという高度な技術を持っていた職人は、当然数学や科学にも精通していた.欧州各所の「フリーメースン組合」は連絡を取り合い、腕の良いレンガ積み職人たちは、お城や教会を作る為に欧州各地を移動し、様々な建築家たちとの共同作業や社会見学をすることでより多くの知識や技術を身につけることとなる.

簡単な歴史:
英国で最古のフリーメースンに関する文書は、King Athelstanによって10世紀に「欧州大陸から持ち込まれた」という.フランスのフリーメースンの歴史を読むと、17世紀にスコットランドで「フリーメースンのロッジ・グループ」が組織されていたようだ.起源というのは、レンガ積み職人の組合と建築家たちに他の学問や学識のある人々が加わり「人類の繁栄」に何ができるかを議論した、ことから始まった.社会では宗教が力を持っていた時代なので「自由な発想」を持つことは迫害の対象になったり、社会生活では障害でもあったので、大っぴらにすることははばかれた.歴史上のフリーメースン有名人はゲーテモーツァルト、ヴォルテア、ルーズベルト等がいる.

英米型と欧州大陸型フリーメースンの違い:
フリーメースンは、元々書かれた聖典のようなものもない上ドグマを嫌い自由な思考を追求した結果、正式な歴史も存在しない.18世紀に広がり19世紀には徐々に英米型と大陸型のフリーメースンは、決別し更に違う方向へ行った.大陸型は1789年のフランス革命から人権が追求されると、それまで「どの宗教でも良いから神を信じることが基本」であったが、「無神論懐疑論、精神は肉体から離れては存在しない」などと考える人々も加えることにした.初期の頃の欧米では「全ての宗教」とは、回教、ユダヤ教キリスト教の沢山の枝分かれした宗派のことで無神論は論外であった.フランスやイタリアなどの欧州大陸では、18世紀には無神論も議論できる自由な雰囲気があった.同時に大陸型は女性の参加も認められるようになった.約150年前のことで、現在でも英米のフリーメースンは「神または超自然の何かの存在を信じる」ことが条件になっている.英国では女性の参加が議論されるようになったのは1999年だそうだが、現在でも女性の参加は認められていないようだ.英米がメインとすると、大陸型のフリーメースンは、反ドグマ的フリーメースン、自由なフリーメースンと呼ばれるようになった.(欧州大陸型のフリーメースンは少数だが北アメリカにも存在するそうだ)ほとんどの欧州大陸のフリーメースンはこの「自由なフリーメースン」の集まりとなっている.

世界で使われているフリーメースンのシンボル:
世界中のフリーメースンのほとんどが、コンパスと直角定規のシンボルを使っている.元々ドグマを嫌う団体なので、このシンボルの定義はしていない.それぞれが解釈すれば良いことになっている.このシンボルを使いフリーメースン思想への手ほどきを受けることもあるようだ.私個人の解釈は「昔からの迷信や根拠のない説をそのまま受け入れるのではなく、必ず(コンパスや定規などで)科学的に立証されたものを通して世の中を考える」.英米ではこのシンボルの真ん中に「G」という文字を入れている場合もあるが、同じように定義はない.Gは神・Godの頭文字とする人もいれば、幾何学・Geometry の頭文字だとする人もいる.

ベルギーのフリーメースン歴史:
ベルギーの国ができたのは、1830年で、最初のフリーメースンのロッジ・グループの記録は1721年というから歴史は古い.当時は欧州全体のフリーメースンが繋がりを持っていたが、後にフランスと同様に更なる自由を求め英米とは決別している.1831年に施行されたベルギー憲法はフランスの憲法を元に作られたが、より人権を強調し、自由な憲法として有名だった.(後にデンマークやオランダの憲法にも影響を与えた)

現在のベルギーフリーメースン:
2011年3月にブリュッセルの中心部に「フリーメースン博物館」がオープンした.目的は誤解をとき、沢山の人々に歴史や活動を知ってもらうためという.私が訪れたときには、現在のメンバーと話をすることができ、とても興味深い話が聞けた.例えば、フリーメースンのカレンダーがあり、新年は3月だという.普段私たちが何気なく使っているカレンダーはキリスト教のカレンダーだ.その人の話によると、表向きにはカトリックとしながらも、ほとんどのベルギーフリーメースンは「神の存在を信じないか、懐疑論者」だという.ベルギーのフリーメースンの活躍は、ナポレオン支配の時代に強化され(ナポレオンが率先したという)その後1830年にベルギーの国ができ、最初の王様・レオポルド一世もベルギーに来る以前にスイスでフリーメースンとして入門手ほどきを受けたという.実際にその王様は、ベルギーフリーメースンの最高地位をオファーされたが、それは一番の親友に譲りその人は死ぬまでその地位にいた.



とても興味深いのは、国が出来る前(宮殿や国会もない時期)の1782年のブリュッセルの地図には、フリーメーソンのシンボルをかたどった公園があり、現在でも同様にあること(もう一つの写真は現在のグーグル地図のスクリーンショット).コンパスと定規の公園が「ブリュッセル公園・Parc du Bruxelles」.現在はコンパスの上の部分に国会や省庁などがあり、二股に広がった部分には宮殿がある.(私の個人的解釈は、国会が王室を仕切る)余計な話だが、国が出来たときに何人かの欧州貴族に「ベルギー王」の地位をオファーし、結局ドイツの貴族が承諾した.「ベルギーの王様は雇われ王様で、世界一貧乏な上いつでも首を切られる」という可哀想な王様だ.

ベルギーのフリーメースンが社会に貢献したことは沢山あるが、早いうちに教育をカトリック教会から離したこと.現在でも半分はカトリックの教育だが、どんな小さな村や辺鄙な場所でも必ずカトリックでない(無宗教または無神論を含めた全宗教)教育が受けられる体制になっている.国ができるまでは大学はカトリック大学だけで(ルーバン、ゲント、リエージュ)しかもブリュッセルには大学は無かった.フリーメースンの努力により、独立から数年後には「ブリュッセル自由大学」が作られ、宗教とは無縁の教育が始められた.

聖職者たちに力や権限を持たせないという運動も盛んに行なわれた.フリーメーソンのメンバーには沢山の反聖職者権力の人々が誘われた.それが理由なのか、ベルギー最高峰の大聖堂も中心部ではなく変な場所にある.

1907年には、それまでバラバラであった世界のフリーメースンの史上初の世界大会がブリュッセルで開催され、25カ国中21カ国のフリーメースンが集まった.それ以降数年に一度欧州各地で開催されていたが、現在は不明.

第一次世界大戦では、ベルギーはドイツに占領され、大量の労働者が強制的にドイツへ連れて行かれたが、その時にもベルギーとドイツのフリーメースンの話し合いや努力である程度の被害を防ぐことができたが、ベルギーフリーメースン最高地位にいた人物はドイツ軍に捕虜にされた.第二次世界大戦でもベルギーはドイツに占領された.この時にヒットラーユダヤ人と同様にフリーメースンも捕虜収容所へ送り、同様にガス室送りにした.数万から数十万の欧州中のフリーメースンが殺されたという.現実に終戦後ベルギーのフリーメースンは、戦前と比べると4分の3になったという.4人に一人が殺されたことになる.多くのフリーメースンは英国へ渡り、レジスタンスになると同時にフリーメースンとしての活動を英国で続けたという.私の知っていた数名もこのレジスタンスだった人たちだ.

もう一つベルギーのフリーメースンの活躍で有名なことは、人権活動だ.1912年にできたロッジ(グループ)で世界の人権活動団体との連携で様々な人権問題を扱っている.(ブリュッセルから「国境の無い弁護士団」というNGOもここから生まれている)
http://www.droit-humain.be/en/conv.htm


ベルギーは建国から第二次大戦ごろまで、英国に次いで世界第2の経済大国であったが、これもベルギーフリーメースンの活躍するところが大きい.ほとんどの有名建築家(アールヌボーやアールデコで有名)やアーティスト、産業革命で沢山の機械類を発明した人々、科学者や技術者・・・.戦後はフリーメースンの人口は増えること無く、現在に至っている.知り合いだったフリーメースンから聞いた話は、それぞれのメンバーが知っている人で新しくメンバーになるのに相応しい人を推薦し、他のメンバーたちが審査をする形を取っていた.現在はメンバーになりたい人は、自分の思想やフリーメースンについての論文のようなものを送り、審査や話し合い、面接などが行なわれるらしい.

ベルギーのフリーメースンは:
declaration:宣言
which adhere fundamentally to the principle of absolute freedom of conscience;
絶対的に完全自由な道徳心の原理に忠実であること
which are convinced that the social, moral and intellectual liberation of men and women will be the result of an unending struggle against dogmatic limitations, sectarian forces and ideologies that violate adogmatic freemasonry;
人間の社会的、道徳的または知的な自由(解放)のために、教義や定説の限界、派閥支配、反独断的フリーメースンに反対する思想、に終わりの無い闘いを挑む心構えを持っている
whose devotion to the principle of equality is unshakeable;
平等主義の原則に献身することに揺るぎがないこと
which are conscious of the fact that the idea of democracy and the defence of a secular society are the essential foundations of organized society,
民主主義と非宗教的な社会が、社会の根底にあることが社会組織には必要不可欠であると自覚していること


the Belgian adogmatic Freemasonry is inspired by the following principles:
そして、ベルギーのフリーメースンは次のことに影響されている
the practice of initiatory work and the use of methods based on symbolism;
シンボルを使用した入門手ほどきの実行
the pursuit of the improvement of man in all areas;
人類のすべての分野の繁栄のための追求
the defence of freedom of conscience, freedom of thought and freedom of expression;
自由な道徳心、自由な思考、自由な表現を守ること
the endeavour to achieve harmonious relations between all men and women by trying to reconcile opposed opinions;
すべての男女間の関係が平和的になるために対立する意見を仲裁する努力
the rejection of dogma of any kind.
すべてのドグマを否定する
(下手な翻訳ですみません)

さて、最後にまとめとしてフリーメースンを考えてみたい.上で説明したように、ベルギーではフリーメースンの悪いイメージは全くない.どちらかというと「高尚すぎて近寄りがたい・・」という印象が今まであった.その意味で「博物館」が作られ、もっと歴史や活動を知ってもらいたいというのが本音であろう.私が「友人」と書いた人々は、元夫の友人たちで元夫をフリーメースンに誘おうとしていたので、私の前でもフリーメースンの話をしていたが、秘密で隠すのではなく、謙虚であることで自らはそう言う話をしない、と私は理解している.
本日はまたフリーメースンの博物館で待ち合わせがあるので、また何か別のことがあればフリーメースンのことを日記に書きたいと思う.

http://www.mason.be/en/index.htm

もし、日本のメディアが「ジャーナリズムの精神」に則り、国民のために真実を追求し、知らせていたら原発事故の被害も今より減らせたのではないだろうか?

Noro153+EN2011-10-18


私は地震津波原発事故があった時期は、オーストラリアのタスマニアにいた.24時間被災地の情報をくまなく放映するテレビとネットで情報を収集した.間もなく国際的な原子力の専門家などが「緊急事態に対応する為の会」を開催、3月12日からは「メルトダウンした」というニュースやブログなどが次々にネットに登場した.その中には「人類史上最大の人的災害で、どうやってどこに1億2千万の人間を非難させるのだ・・」という記事も3月中に目にした.

タスマニアで知り合った日本人女性の実家が福島だと言うことを知って、「すぐに全家族をタスマニアに避難させたら?こういう時だから、長期滞在ビザもすぐに発行してくれるはず.」とアドバイスし、その女性は私の目の前で家族に電話した.相手はいたってノンキに「原発から数十キロも離れているし、ここまでは被害はないって近所中いってるから大丈夫・・」いくら日本の外では、メルトダウンが確認され日本中が危ないといっても、日本でのテレビや新聞が危険はないと言っているので、何を言っても無駄だということを理解した.

このビデオはドイツの4月1日に放送された風刺番組:

4月に入り、欧州に戻ってきてからも「どうせ相手にされないので、見守るしかない」という心境で数ヶ月経ってしまった.そして放射能汚染が広がり、東電や政府のウソなどが日本で発覚し始めた.被害が広がっていることで、大勢の人々が原発放射能汚染の実態を追求し、メディアや政府は信用できないと思い始めたことが、大惨事の中での唯一の救いかもしれない.

「日本のマスメディアも時々は本当の事や真実を書くから・・」という意見も沢山あるが、私には「百害あって一利なし」としか考えられない.外国語が堪能で世界中の情報を常にウォッチしているならば日本のマスメディアからの洗脳を避けられるはずなので問題はない.しかし、日本のマスメディアだけに頼っている人々は知らず知らずのうちに洗脳されてしまう.日本のマスメディアに洗脳されることの何がまずいかというと「真実や本当の世界の動向」は知らされず、日本(の権力)にとって都合の良いニュースや話だけ、または彼らに良いように曲げられたことしかしることが出来ないからだ.その結果自分たち、国民は世界の変化を知らず、泣くことになる.原発事故はその良い例だが、社会生活すべての分野で同じことが言える.某通信社の幹部から「お得意さんの悪口や一般の国民に不安を与えることは書けない」ことを知らされた.自分の媒体を持たない通信社にとってだれが「お得意さん」かというと「地方自治体や官僚」のようだ.普通の新聞社やテレビ・ラジオ局にとっては、スポンサーや広告を出してくれる企業になる.これでは民主国家どころか、法治国家であることも疑われる.

本当のことや真実を伝えることが問題になる以上に問題になることがある.それは、記者以外で大衆に影響を与える人々が、自由に発言できる環境とそのような人々の倫理観だ.そしてどれだけ沢山の時間が公共の電波に使用されたか.マスコミがやっていることは、ドラマやバラエティ番組や有名人を使い世論誘導すること.そういう中でどのように正しい判断が出来るだろうか?

1999年へ戻った当時、沢山の逆カルチャーショックに戸惑ったが、その一つに環境問題への理解度や解釈が日本の外とは全く違うことに気づいた.(もちろん全員ではないが、大多数の人々が・・)
・専門家を含め「地球温暖化」を信じない人たちが多い
・本当の意味での資源の節約をしようとする企業が非常に少ない
・ITを利用し、環境や温暖化対策を真剣に考えていない
・役所などの反デジタル化の意味が解らなかった
・環境の為の菜食を理解する人や推奨する人はほとんどいない
・人間の経済活動が地球環境を劣化させている事実は気がつかないか無視

環境問題を真剣に取り上げることは、今までの「経済の成長信仰」を見直さなければいけない.消費を減らしたり、食生活を見直したり・・・と沢山の今まで信じられてきたことを覆すことになる.日本の経済にとっては、とても不都合な真実と向き合わなければいけない.だから、日本のマスメディアは環境問題を取り上げないか湾曲させ、企業や権力に都合の良い方向へ世論を導いてきた.真実を追求したり、人々に本当のことを知らせないマスメディアは東電以上の犯罪者たちだ.

つい最近出くわした例をあげると、「肉食(畜産業)が環境汚染や温室効果ガス」の最大の原因である事実は、最近では当然ことと世界中の人々は知っているが、日本では全く浸透していないので、日本ではなじみの薄い「山羊肉を広める」ことにエネルギーを使い、それに賛同する人々が徐々に増えていること.世界の飢餓をなくし環境を守る為にはすべての肉食を減らす、または止めて菜食へ移行しなければいけないことは、40年前から欧米では盛んに言われてきた.(肉食に反対する意見は、環境問題、動物への虐待反対、健康志向など様々だが、ここでは「環境」だけを取り上げる.)

2006年にはとうとう国連食糧農業機関が「肉産業が世界最大の温室効果ガスの原因」になっていることを認め、世界中の人々に出来るだけ肉食を減らし、菜食になることが個人としてできる最大の環境保護になる」というリポートを発表した.日本ではいくつもの個人ブログでは取り上げていても、マスメディアがこれを取り上げたかどうかは不明.

ベルギーではゲントという20万人ほどの町が街を挙げて「週に一回菜食の日」としたのを始め、ベルギーではすでに20以上の町、世界では数えきれないほどの町が同様に菜食を推奨している.ゲントでは、その木曜日菜食の日は学校給食、役所、一般のレストランも菜食メニューを用意している.強制はしないが、環境問題への意識を高めることが理由だ.

先に書いた「山羊肉を広める」ことは、本がデジタル化し、近い将来はほぼ100%の本がデジタルへ移行するであろうとだれでもが予想できる時に「紙の本だけの出版社や本屋」を新規に始めることに似ている(もちろんそれよりずっと地球環境に悪い)時代錯誤も甚だしいことだ.世界の動向を知らないと損をするし、全財産を失うまたは健康や命さえ失う可能性がある.欧州ではテレビやラジオに出る有名人たちが気軽に環境の話をしたり、お笑い番組などでも環境問題やその他の国内、国外問わず世界の動向を浸透させている.そして誰にも媚びることのない真っ当な討論をテレビでみることが出来る.だから、例えば大勢の肉を食べる人々は「肉はいけないのは解っているけど、ごめんね」とか「大部減らしているけど」という心境、そして何百年の伝統より地球環境が重要であることを認識している.

畜産業(肉食)が環境に悪い理由は:ポールマッカートニーと英国菜食協会が作ったビデオ

・畜産業は、人為的に生じる(二酸化炭素の23倍強力である)メタンガスの37%を占め、この放出源の多くは、反芻動物の消化器系からもたらされており、その64%が酸性雨に大きく貢献するアンモニアが放出されてる
・家畜動物達の放牧を行うために地球の全地表の30%を使用し、家畜動物達を太らせるために必要な穀物の生産に、必要な耕作地の33%を使用している.森林が新たな牧草地のために削られると、深刻な森林破壊を招く事になる.実際に、かつてアマゾンに存在していた熱帯雨林の70%が既に家畜動物達の牧草地のために伐採され、それは現在でも進行している.
・大規模な過放牧や家畜の群れによる重量の集中や浸食によって牧草地の20%が不毛の地となり、土壌の劣化を引き起こしている.この統計は、不適切な畜産動物達の管理が砂漠化の促進に貢献し乾燥地では、より高いものになる.
・畜産業は、水質汚染富栄養化珊瑚礁の退廃に貢献しながら、減少の一途を辿る地球の水源に最も被害を与えている産業だ.このような主要な汚染源は、家畜動物達の糞便、抗生物質、ホルモン、なめし革工場からの化学薬品、家畜動物達を太らせるための穀物の栽培に使用されている農薬だ.大規模な過放牧は、地下水源の水循環に悪影響を及ぼしている.大量の水が家畜動物達を太らせるための穀物の生産のために使い果たされようとしている.
・畜産業は、南シナ海のリンや窒素などの主要な汚染源であり、海洋生態系での生物多様性損失に貢献している.
・肉や牛乳のために育てられている動物達は、現在、地球上に存在する生物の20%を占めています。土壌を乱用し、絶え間のない穀物の生産への需要を求める畜産業の存在は、生物多様性損失にも貢献しています。24ある重要な生態系の内15の重要な生態系が衰退の一途を辿っており、畜産業が、この問題の発端であるという事が明らかになっている.
・家畜部門からの温室効果ガスの排出量は、人間活動で排出される温室効果ガスの18%(2009年に51%と修正された)を占め、自動車や飛行機、その他のあらゆる輸送手段から排出されるすべてを合せた量よりも多い

  33%=家畜の飼料生産に使われる農地の割合
  37%=人間が排出するメタンのうち家畜産業から出る割合
  37%=人間が使う殺虫剤のうち家畜生産で使われる割合
  50%=人間が使う抗生物質のうち家畜生産で使われる割合
  65%=人間の活動で排出される窒素酸化物のうち畜産業から出る割合
  70%=世界の農地のうち家畜生産に使われる割合
  70%=世界の森林伐採地のうち家畜生産に使われている割合

別の人のブログから:(すみません、リンクが不明に)
「牛肉1kgを生産すること=車で250km運転して出るCO2=20日間100ワットの電気つけっぱなし。
ジープを運転する菜食主義者のほうが自転車をこぐ肉を好きな人よりも環境にやさしい。
ハンバーガーを1つ食べるたら台所の大きさの熱帯雨林失われる。
世界中使っているエネルギーの70%は家畜のエサを輸送するために使われる。
74%の大豆と33%の作物が動物のエサになっている。
今世界の人口の10億人の人たちが飢餓に苦しんでいる。もし家畜がいなかったら家畜が消費する世界全生産の74%の大豆と33%の作物は20億人の人たちを救える.
牛肉450グラムを生産するのに水2万リットルを消費する.
世界中11億人の人たちがきれいな飲み水を飲めない.
人間が使う水の70%は動物を飼育するために使われている.
アメリカ人が週に1日菜食になれば3780億リットルの水が節約でき、8億キロの食糧も守られる。
カナダとメキシコの車が使用する1日の燃料とおなじ2億6千万の燃料と1200万トンのCO2の排出を減らすことができる.」

国連環境計画地球水アセスメント 水効率の悪い灌漑農業を止め、肉消費も減らせ
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/conservation/news/06032401.htm

肉摂取を減らせば生物多様性・人間の健康・持続可能な農業に便益ーオランダの研究
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/food/06042801.htm

すべての動物性食品は百害あって一利なし---菜食の勧め
http://saisyoku.com/

最後に、肉食の伝統しかない欧州(ベルギー)では、「工業化された畜産業が環境に悪影響を与えているが、昔からある小さな牧畜は許されて良いのでは?」という意見もあるし、庭で自分で飼っている数羽のニワトリの玉子を食べることが問題ではない.
私の提案は、世界で何が起っているのかを知ること、がまずは重要なこと.そして後は個人の判断で「良心の消費」をする.(日本にまともな”ジャーナリズム”やマスメディアを作ることが先決だが・・・それに原発事故に関しては、オランダのハーグにある「国際刑事裁判所」に日本政府を訴えることもできる)

だれでも長い間信じていたことが、間違っているとは考えたくない.しかし、絶対普遍な思想は多分存在しないのでは?

Noro153+EN2011-10-17


昔ベルギーで、ベルギー人の元夫と知り合った頃、彼がいろいろな人たちに私を紹介するのに「日本人で仏教徒」と言っていた.彼と意気投合した最大の理由はお互いに「無神論者で反一神教」の立場であったからだ.それなのに他の人々には「仏教徒だ」と紹介していた理由は、沢山の人々が「宗教なし、または神を信じないで善悪の判断はつかない.だから無宗教無神論者は悪人である」と単純に信じていたからだ.現在はどこでも憲法や法律などで、無宗教無神論は認められているが、心の奥底でこう信じている人々は少なからずいると思う.現在のベルギーでは、神の存在を信じようが信じまいが社会生活では、全く関係ないので信仰や思想の自由が守られている.

無宗教とは言え、古代のギリシャの哲学や仏教もかなり評価していたのにショッキングなニュースを見た.あの曹洞宗大本山である永平寺原発に賛同し、「もんじゅやふげんの命名に関わった」こと.そして「原発に対する認識が足りなかった私たちの責任は重く、間違いだった。懺悔(さんげ)することから始めたい」と戒めている.懺悔(さんげ)のための集会にも入場料を取るということに呆れ果てるのは私だけ?日本は唯一の原爆被害国で放射能の怖さを痛いほど知っていたはず、その上数々の原発事故(311以前のマイナーとされる事故など)だって知っていたのではないのか?日々勉強し思考することが、僧侶の仕事ではなかったのか?もし、この集会に参加する方がいるのなら、ぜひどのような思想や理由で最初に原発賛同に関わったのか追求してほしい.しかも311の原発事故から7ヶ月もたってから「後悔している」なんて虫が良過ぎる.もし、理由がカネなら・・・う〜ん、これ以上想像したくない.

前回の続きで「もし日本教という宗教が存在するなら」その宗教の中に居る者には見えないが、外の者には見えることがある.多分キリスト教などの一神教を信じている人々が、絶対に確か、当たり前と思っている「神の存在」に匹敵することだと思うので、また沢山の批判をもらうことを覚悟で発言させてもらう.

真面目に働くこと、勤勉であること、会社のために働くことが、絶対的に正しいことなのだろうか、という疑問だ.なぜかというと、この倫理は日本だけのもののような気がするから.欧州では、生活のためにお金を稼ぐことと幸福になることはほとんど別だと考えられている.だから、法律で働く時間が制限(ベルギーでは週37時間)され、それ以上働こうとする人はいないし、雇用主は従業員をそれ以上働かせたら必ず罰せられる.日本でも勿論そのような法律があるだろうけど、周りの空気がそれを許さないのではないか?例えば5時で会社は終わりのはずだけど、その時間に終えるのは気が引けるとか何らかの見えない束縛があるようだ.自分の会社が家族や友人より優先することや何十時間もの残業をしたことが自慢になるのは日本だけだ.自分の一生をかけて尽くした会社が、もしかして世界で罪のない人々を殺している武器製造業に加担しているかもしれない.世界の原生林を伐採したり、後進国の環境破壊や環境汚染をしているかもしれない.貧しい人々や国々から搾取しているかもしれない.もしそうなら、会社に尽くすことは世の中にとっては悪いことをしていることになる.

日本だけではなく、世界中の企業が目に見えない何か悪いことをしているかもしれないので、尚更自分の判断や倫理観を持つことが重要になってくる.欧州には、独立したまともなジャーナリズムがあるのと法律を守らせる機関が機能し充実しているので、個人での善悪の判断もつき易い.神を信じようが信じまいが、どんな宗教を信じていようが、人類に共通する善が法律になり、法律が人々を守っている.なんか当たり前のことを書いているかもしれないが、日本にはその当たり前の「人類共通の善と悪」の認識が足りないような気がする.欧州は長い歴史の中から学んだ知恵が生かされ、現在でも修正が行なわれている.

私は、日本の中世や江戸時代に憧れを持っている.その一例は紙文化と折り紙.それが講じて日本に戻る直前には、ブリュッセルのど真ん中で「世界の手透きの紙」のお店を開いたぐらい紙工芸や折り紙が好きだ.一番古く、現存する折り紙の本は1797年に刊行された『千羽鶴折形』という本だ.一枚の正方形から切り離さずに切れ目を入れるだけで、何十もの鶴を折ったり、とても複雑な数十の鶴の折り方が記載されている.折り紙は他の伝統工芸とは違い、遊び以外に全く利用価値はない(つい最近までそう思われていた).日本の昔の人たちは、そのように利用価値がないものでも、真剣に追求していたことが1797年の折り紙の本から伺える.お金にもならないし、人の役にも立たない、ましてや名誉にも肩書きにもならない.私はこういうことが人間の素晴らしい文化だと思っている.折り紙は明治に入り外国へは伝わったが、国内では「役に立たない余計なこと」として忘れ去られようとしていた.大正時代に逆輸入の形で再び日本に定着していったが「子供の遊び」としてしか見られなかった.最近では世界の数学者が折り紙と数学を結びつけたことやNASAが折り紙を宇宙開発に利用したことで、脚光を浴びている.

もし当時、今のように何の役にも立たない遊びに興じている人は、怠け者として非難されることがあったなら、この素晴らしい折り紙の本は生まれていない.

その他にも「からくり人形」や百人一首紫式部小野小町などの文学、日本の素晴らしい文化は決して有名になりたい、勤勉だと思われたい、お金がほしいという人々から生まれたものではない.特に庶民の間で広まった(追求された)折り紙の文化は、庶民に余裕があったからだ.衣食住の心配をしなければいけない社会ではこのような高度な文化は育たなかったのではないか?

昭和20年までの日本では軍国主義帝国主義が絶対に正しいと信じられていた.それに異議を唱えた人々は非国民であり、処刑されたか監獄へ入れられた.8月の敗戦で、それまで信じられていたことは覆され、世界で信じられている民主主義を導入させられた.人々は慣れない「民主主義とは何か、自由とは何か」など世界のことを一生懸命学び、再び世界の仲間入りをする努力に余念がなかった.私が子供の頃はこういう人たちが学校の先生たちで、社会自体が新しい倫理を考えるという雰囲気があった.その結果、沢山の学生たちが政治や思想・哲学に没頭し、世界中の学生がそうであったように、日本でも学生運動が盛んになった.日本の若者たちは世界中の不正があるところへと遠征した.日本政府がそれを「日本の恥であり、経済成長の邪魔になる」として、徹底的に潰す切っ掛けは、多分「浅間山荘事件」当たりからではないだろうか?それまで大学は町中にあり、庶民の生活と密接に関係していたのを、見事に辺鄙な場所へ隔離してしまった.大学の3年生で就職を決め、4年の卒業と同時にどこかの会社へ入らないと社会の主流からは外されてしまうことなどもそのころからではないのか?若者たちに外を見る機会を与えない.外国へ勝手に長らく行った者は、戻ってもまともには相手にされない.日本語だけでほとんどすべてを勉強することができるので、外国語は蔑ろにされた.こうやって1970年ごろから日本人の隔離、第二の鎖国が始まり、同時にメディアや官僚たちのやりたい放題が始まった.何しろ文句を言う人々はいなくなってしまったのだから.「何も考えずに真面目に働くこと、勤勉であること、会社のために働くことが、絶対的に正しい」という倫理観も同様にこのころから植え付けられたのではないだろうか?

僧侶とは、沢山のことを学んでいる人々で、その時の権力やプロパガンダにはびくともしない倫理観の持ち主だという、私の持っていた僧侶の理想像とはかけ離れた永平寺の出来事にショックを受け、上記のようなことを考えてしまった.上に書いた古い折り紙の本は、ある僧侶が書き残したものだ.

追記:日本国憲法世界人権宣言、そして国連憲章が今のところ「人類共通の善」とは何かを考える土台になると私は思っている.