もし、日本教という新興宗教が存在するのであれば、それですべてが説明できるのだが・・・

Noro153+EN2011-10-10


日本で、しっかりと自分の意見を持って、それを貫く人々(有名人、凡人とも)に遭遇することは、非常に稀である.昔はそんなことはなかったと勝手に思っているが・・・

日本のメディアが情報操作や誘導をしているのは、この半年で明らかになってきたが、モラルリーダー(有名人や評論家など)と言われる人々の支離滅裂さ、信念のなさはどう扱えば良いのか・・・?

私は外国生活が長いことが理由なのか、割と批判的に(世界の)テレビに出る人や有名評論家たちを見る癖がついている.それでも久々に日本に戻った頃、日本にもこんなに世界的視野から物事を見ていると感心した人が寺島実郎という評論家だ.そしてネットから5冊の著書を購入.当時問題になっていた、中東問題に対して実に的確に話をしていたことに驚かされた.しかし、ある生番組で中東問題、イスラエル批判の討論をし、番組最後に司会者だった田原総一朗だったか「在日イスラエル大使館から抗議電話があり、イスラエルの人々にとって不快な内容だったことを深くお詫びする」という内容で参加者全員で謝罪、そしてその後全く中東問題の討論は行なわれなくなった.そして寺島実郎さんも当たらず触らずの意見しか言わなくなってしまった.

寺島さんのことは昔のことで、あまり思い出さないが、去年の春頃別のモラルリーダーの発言に「この人は凄い」と思った人がいる.日本にまだいる頃で、ツィッターのRT(自分がフォローしている人の言葉、ツィートを再度流すこと)で知った茂木健一郎氏だ.そのころ彼はツィッターを始めて時間が浅く、「日本に革命を起こす」という強いリーダーシップ的言葉で毎日フォロワーを増やしていた.「日本人全員がストックホルム症候群の被害者である」とし、メディア批判、教育システム批判、官僚批判などを展開していた.私がずっと感じていた「日本は第二の鎖国をしている」ということと共通するので、彼を注意深くフォローし、ブログを読んだり、ネットからポッドキャストをダウンロードしたり・・・.「日本の社会構造の中で人質として生き延びる為に、犯人(権力)を肯定するようになってしまった」という理論だ.以下茂木健一郎氏のブログから:

日本人は、日本という社会の文脈に巧みに適応することで生きて来た。

早い場合には、小学校に入る前から始まる「受験戦争」、「有名大学」という限られた「クラブ」に入るための競争、そして、大学三年の秋から始まる就職活動。

生真面目な日本人たちは、与えられた「ゲームのルール」に従って、一生懸命つとめてきたのである。

そのような、精緻に張り巡らされた「文脈」に適応することで、適応してきた日本という「生態系」の大きさが、縮小しつつある。日本人の生真面目な「過剰適応」が、かえって日本人が可能性を延ばすことを妨げていると言える。

ある意味では、日本人は、「根回し」や「段取り」や「空気を読む」といったあまりにも精緻に作り上げられた日本の社会構造に、子どもの頃から「人質」になっているとも言える。それに合わせることは、最初はそれなりに大変なことのはずだった。ところが、社会の中で「訓練」を受けているうちに、いつの間にか、もともとは自分の本性とは無関係だった倫理感、価値観が、内面化され、あたかも自律的にそれを選びとっているかのような錯覚を抱くにいたる。

ストックホルム症候群」 にもつながる事態が、私たちの足腰を萎えさせているのである。

そして日本社会のガラパゴス化、教育のガラパゴス化、マスメディア批判、若者は脱藩せよ、革命を起こそう・・・当時は茂木健一郎氏の言葉の一つひとつが私が感じていたことを言い表し、この人こそ信用できる学者だと思っていたのも束の間、数ヶ月するとそれまで言っていたことを全撤回することに.その理由として「この話をするとボクの先輩がいつも悲しい顔をするから」とツィッターで呟いた.それ以降フォローを止め、茂木健一郎氏をネットで見ることは全く無くなった.もう一年以上前のことだ.そして、この日記を書こうと久々に「茂木健一郎」を検索したら、なんと沢山の批判があることか.その中でも数ヶ月前に書かれた、別件で彼に裏切られたとし「茂木さん、あなたもですか?」というブログは、彼がいつもこのように「ブレている」ことを証明する.最近のツィートには、スティーブ・ジョブスとアップルの1984年の広告について「自分のヴィジョン、信念があることに意味があるのである。それが、たまたま、その時々の世間の常識や、既成観念と一致しない。結果として、Think differentになる。「異なる」ことは目的ではなく、結果なのだ。Think Differentのコマーシャルに登場した人には、すべて強い信念があった。彼たち/彼女たちにとっては、それが真実だったのである。「陽明学」の精神で幕末を貫いた吉田松陰のように、成功が保証されてなくても自分を貫くだけの、熱いパッションがあったのだ。」と発言している.信念ということをポジティプなこととして発言しているが、本人には何の信念もないことを私は確認した.

数ヶ月前にやはり日本人で「この人は凄い」と私が騙される寸前まで行った人がいる.苫米地英人氏だ.人工知能LISPの大御所であることと、洗脳の専門家であることが興味を持つ始まりだった.そして、ユーチューブやネットでの発言、主に世界経済や政治のことが「世界的観点」からであることや洗脳の話がとても面白いと思った.私は遠くにいるので、著書を買うことはできないが、ダウンロードで5冊(計1万円以上)ほど買い、何万円もするものを買う寸前まで行ったとき、考えが合わないことに気付いた.それは311の地震原発事故直後のブログかユーチューブかで「放射線汚染の食品を食べても身体に害はないからどんどん食べろ」という発言と、世界政治や地球環境を考えているはずなのに「今の日本人にできることはどんどんカネを使い消費すること」という発言で熱がさめてしまった・・・

最近ドイツのテレビ局が作った日本の原発事後についてのビデオがある.その中で、福島県放射線汚染による健康アドバイザー講演会で、沢山の肩書きを持っている医者が「ニコニコしていれば放射線の影響は受けない.くよくよしている人は放射線汚染で健康を害する」と真面目に話している.この他にも原発事故に関連した学者や評論家たちの支離滅裂な発言は、ネットに山ほどあがっているので、ここでは省くが、原発事故以外のことでもいかに日本には、信念を貫く人たちが少ないかということが解る.

テレビに出ること、有名人になることが目的の科学者、学者、評論家たちが如何に自分の思想を簡単に変更してでも権力に迎合しようとしているかは、丁度キリスト教などが出来上がる頃、様々な思想を持ち込んで、その時の権力に一番都合の良い意見を取り込んだことと似ている.キリスト教が大体出来上がるまでに数百年を要し、生き延びる為、権力維持の為に今でも必要に応じた修正が行なわれている.日本教が生成されているとしたら、まだ歴史は新しい.この60年か戦前を含めた80年か・・・思想的にはまだカオス状態なのか?

というより、世界は日本だけではない.キリスト教のウソや他の宗教でも沢山の人々は、それがその時の権力が権力維持のために利用したことを解っている.だから、政治や司法、社会生活でも宗教は完全に切り離されている(欧州の場合).ベルギーは国の宗教がカトリックというキリスト教でも、回教やユダヤ教、またはプロテスタント、正教、無神論などを認め、税金からそれぞれに割り当てられた助成金などで公立学校での授業をしている.私のような確信無神論者でも居心地が良いのは全ての思想を認め、社会生活から総ての宗教は完全に切り離されている社会だからだ.その反対に日本人でありながら、世界で一番居心地が悪いと感じているのは日本だ.日本教を信じていない人々にはとても居心地が悪い.

例えば日本人にとって、中東のユダヤ教と回教の対立や他の宗教の対立が理解できないのではないかと思う.日本にいた頃に「自分は洗礼を受けたキリスト教だ」と自慢する人々に度々あった.そしてその人の親友が創価学会ということもあり得る.日本人にとっては、キリスト教である前に「日本教」という一番根底の宗教があるので、その上でキリスト教であろうが、回教やユダヤ教に憧れていようがあまり関係ない.

しかし、根底にある(であろう)日本教という教えが支離滅裂であるとすると、一般の人々は信念を持つことも、普通に意見を持つことも出来ない、というかなぜこんなに支離滅裂な人たちが多いのだろうか?支離滅裂はもしかして言葉が悪いかもしれないので、別の言い方をすると生活、意見、思想、好きなこと、嫌いなことなどが一貫していない.

私が実際に出会った人々の例をあげて説明すると:
・子供のいないご夫婦で自分の子供と思って犬をとても可愛がっている.動物は全部好きだから、近所のペットショップへ毎日のように、飼っている犬の散歩の時に見に行く.そして毛皮のコートを身につけている(日本の外では動物好きは、動物愛護を前提としている人たちのことを言い、動物を商品として扱うことに反対.ましてや残虐行為の典型である毛皮は身につけない)
・学校が悪い、システムが悪いと長い間引きこもりをやっていた男の子.20代後半でサラリーマンになるチャンスを最大のチャンスとし、毎日背広を着て会社へ出勤することが自慢になった(こちらでは、教育や社会のシステムが悪いと思う人々は絶対にサラリーマンにはならない)
・自称クリエーター、アーティストがウヨクのいう排外主義を信じる.同時に外国とのアート交流をポジティブなこととする.(自由な表現を求めるアーティストには排外主義などはもってのほか、のはず)
・海とダイビングの専門家、イルカと泳ぐことが最大の喜びだと言う.海に入れない時はイルカ料理を探し歩く(イルカが好きなこととそれを食べるのが好きなのとは相反することだというのが世界の常識)

極端な言い方をすると、お寺のお坊さんの一番の好物は「分厚いステーキ」という外国では考えられないことが、日本では普通にあるということだ.私は長い間、マックフリークだったが、その理由はスティーブジョブスの「お金を稼ぐことより、素晴らしいモノを創り提供したい」という精神と、アップル社の徹底した環境問題に対応しようとする姿勢にある.リサイクル率でトップ3ぐらいに入ったこともあるし、銀座のアップルストアでもメールアドレスのある人にはメールで領収書を送るので「紙の領収書」は渡さない、ということも10年前からやっていた.(iPodが売れ出してがっかりする部分も多々あるので、現在はマック卒業を目指している)ジョブスが亡くなった後ネットで調べたら、彼は仏教に影響を受け、肉は一切食べなかったという.これらは当然想像できることで、製品と彼の生き方とは一貫していた.(他のパソコン会社と比べたら)

例えば、私のフェイスブックでの知り合い2400人ぐらいの内98%は日本人以外で、世界中の環境問題や動物愛護などを真剣にやっている人々だ.その中で全く別の話題になっても、意見の食い違いはほとんどない.フェイスブックを何かのビジネス的なことに利用する人も当然いない.ある人は、海の汚染で海洋生物が危機的状況になっていることに集中している.別の人は「ルーマニアの野良犬が毎日何百匹も殺されていること」を世界に訴えようとしている.アメリカのペット収容所から犬ネコを救い出そうとしている人もいる.中国の環境汚染の酷さを問題にしている人もいる.このように2400人の世界の人々がそれぞれの関心ごとを共有している.そこへ、今話題になっている「Occupy….」の話題や参加要請を持ってきても何の抵抗もなく、みなが賛同する.勿論まともな討論は通常のこと.環境問題を重要なことと思っている人々が「大量消費を推進する資本主義に反対する」のは当然のこと、一貫している.

ところが、70人ほどの日本人の3分の1は、何年も横浜で実際に知っている人たちだが、何を考えているのか、どのような信念を持っているのかさっぱり解らない.曖昧、うやむやを美徳として自分の信条や意見を書かないことが理由でもあるし、長い間知っている人で良い交流があっても、突然私の信条と正反対のことに賛同し推奨する・・・それで縁を切った人たちも何人もいるが、現在でも進行している.文化の違いを言えばそれで終わりだが、フェイスブックには欧米人だけではなく、韓国、香港、台湾、中国、フィリピン、マレーシア、タイ、サモア、アフリカ各国、中南米と世界中の人々と交流がある.そして「本当は何を考えているのかさっぱり検討もつかない」と感じているのは日本人だけだ.それに最悪なことにそういう事柄の論理的な討論もできない・・・

追記:ある国際人権NGOの横浜支部の集会場所は、カトリックの修道所を使っている.これは「一切の国、企業、宗教からの援助や支援を受けない」という中立を守る為の国際ルールが守られていない.それを何十回も説明しても全く理解してもらえなかった.彼らが言うには「無料で貸してもらっているし、宗教は関係ないですよ」という回答だ.私は一時期ボランティアで参加していたが、このように世界的な人権団体でさえ、日本に行くとルールが変わってしまう.「今日はカトリックの修道所を集会場所に使用するなら、来週はオウムに頼んで無料で場所を提供してもらいましょうか?そしてその翌週は統一教会とか・・」と皮肉を言っても通じない.そして、世界的人身売買の拠点(横浜の黄金町)が隣にあっても「見ざる、聞かざる、言わざる」を貫き、話し合いは「次のクリスマスでどこでクリスマスカードを売るのが効率が良いか・・・」これはもう、参加しても何もならない、と思い脱退した.

追記(2):永平寺、あなたも原発に賛成していたのですか!しかも事故から7ヶ月も経った後で「原発に対する認識が足りなかった私たちの責任は重く、間違いだった。懺悔(さんげ)することから始めたい」懺悔(さんげ)するのもカネ儲けに利用?

ウォール街の占拠は3週目に入り、米国百カ所以上で「・・を占拠せよ!」のスローガンの下、金融資本主義への抵抗が続いている.欧州でもチュニジアの革命以降急速に市民の意識が高まってきた.

Noro153+EN2011-10-03


数ヶ月前からギリシャやスペインでの大規模デモが毎日のように報道されるようになってから、欧州中の市民が「世界はおかしい・・」と考えるようになった.そしてその「変だ」を突き詰めて行くと現行の金融システムや資本主義に突き当たる.欧州各地の(多分日本でも報道される)大規模デモは突発的な出来事ではなく、ウォール街占拠とも共通する金融システムの破綻を意味し、益々この意識が高まっている.

世界を見てみるとこの数ヶ月だけでも、市民の抵抗は各地で見られる(再度書くが、それぞれ突発的な出来事ではなく現在進行形であること、主旨は共通している):
英国各地での抗議運動や暴動

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(書ききれないほど、世界各地での政治や経済、金融システムに反対する市民運動や紛争は勃発している)
その他に、香港で30万人が集まり「フィリピンからのお手伝いさんを入れることに反対」するデモが行なわれたという.これも地元市民たちの経済的危機感から、外から人を入れることに反対しているのではないか・・と想像する.

その他に熱帯雨林や自然環境を破壊している企業に対する反対運動は、さらに広がっている.


さて、欧州の首都であるブリュッセルでは、10月8日から15日にかけて「アゴラ、市民政治集会」という大規模な集会とデモが予定されている.すでにスペインやポルトガル、フランス、ギリシャ、イタリアなどからは、夏頃から「ブリュッセルへ、反資本主義、真の民主主義への行進」と称し、徒歩行進が始まっている.ドイツは7日にアーヘンに集合、オランダを経由し、ブリュッセルに13日頃に到着する.何しろ、個人主義が徹底している欧州なので、一体どれだけの国々の人々がブリュッセルを目指しているのか把握するのは難しいが、10月15日が欧州や世界の大変革の重要な日になることは間違いない.
スローガンは:「不正が法律になるなら、抵抗することが市民としての義務である」「我々は世界の99%だ」「人間の尊厳への行進」・・

上記世界各地の反政府デモや紛争は、その土地だけに孤立した抗議ではないと私は思っている.リーマンショック以降、世界中を支配しているウォール街の金融システムのトップにいる支配者たちのウソや陰謀などが徐々に暴かれたこと.そして益々広がる(個人や国家の)貧富の差やそれに起因する暴動、企業による自然環境の破壊などの情報があっという間に全世界へ伝わる.ウィキリークスの政府間や政府-大企業間の極秘文書が公開されたことは、世界の市民運動の確かなバックアップになったことも事実だ.このためにウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジは罠にはめられたり、多分命も狙われているが、世界の平和民主運動に貢献したことで、現在ノーベル平和賞候補になっている.数ヶ月前の見たら「まだ何百万もの公開していない極秘文書を持っている.これは安全のために様々な場所に分散して保管してあるが、自分が殺されたら直ちに一斉全公開をすることになっている.それで一番恥をかくのが米国で、世界の歴史を書き換えることになるだろう.」・・・

この欧州や世界の市民運動は、金融危機が引き金になり今までの「世界経済」そのものへの反省、または反発の集大成と言っても良いのではないか、と思う.

・金融ゲームの罠にはまり自宅をだまし取られた人々
・企業の悪質な自然破壊で死亡や健康を害された人々
グローバル化の名の下に生業を廃業させられた個人商店や零細企業
・利益追求の環境汚染、
・奴隷同様に扱われる人々からの搾取
・利益追求のために悪化している動物虐待、絶滅に追いやられる野生生物
・各国政府の緊縮財政での弱者排除政策
・メディアの情報操作で真実が報道されないこと
・メディアの情報操作で大量消費が推進されること
モンサントを軸に(GM汚染等の)汚染されている食料
原発事故や原発放射能垂れ流し
・巨大石油会社の自然破壊・海水汚染・・・
・様々な理由の「やらせ」内紛、防衛戦争、テロ
・人の幸せや福祉、尊厳までも無視する利益優先の経済システム、など等

ブリュッセルアゴラ、国際市民政治集会は次の日曜日から始まる.そしてその一週間の間に世界各国から人々の「行進」が到着する.私はそのブリュッセルにいるので、時代の節目を直接目にすることをとてもラッキーだと思う.

http://www.youtube.com/watch?v=jyziG5bUuBE&feature=related
http://euweekly.eu/2011/09/10/the-world-revolution-is-for-next-month/

この二つの理由で人類は100年以内に絶滅する、と主張する科学者の記事を数ヶ月前に読んでショックを受けた.天然痘を撲滅させるために貢献したフランク・フェンナーというオーストラリアの科学者だ.

Noro153+EN2011-09-25


以前書いたように1999年に日本に戻った時の最初の逆カルチャーショックは、女性蔑視がより悪い方向へいっていることだが、次の逆カルチャーショックは日本の「消費主義」.日曜日などの休日に、家族でショッピングセンターやデパートなどに行くことが、娯楽になっていることがどうしても理解できなかった(できない).現在は解らないが、ドイツと英国の商店は完全に土日は閉まっていた.ベルギーは日曜日だけが完全休業で、土曜日はほとんどのお店は早めに終了する.飲食店で週末閉めるところは多いが普通は営業しているので、週末にレストランへ食事に行く家族は多い.ブリュッセルの中心部は観光客が多いのでほとんどの飲食店は営業しているが、商店はやはり閉まっている.そして数週間前に見た番組では、欧州人の平均買い物に使う時間は、米国人の10分の1程度だという話.欧州人と日本人や米国人と比べると一番大きな違いは、欧州人は幸福感とモノを買えることは、関係ないと思っていること.日本や米国は、幸福感とモノを買えることはとても近いと多分多くの人々は思っている.最近の調査でも、破綻寸前のギリシャは欧州で二番目、80%の人々が幸せであると感じ、次にやはり経済危機が懸念されているイタリア、フランスと続いている.残念ながらその調査にベルギーは入っていないが、フランス以上の%の人々が幸せと感じているのではないかと想像する.

横浜で飲食店をやっていたので、沢山の人々とコミュニケーションができたが、その中には明らかに「消費依存症」と思われる人が数名いた.消費依存症とは他の依存症と同様の症状でほとんどの人が気がつかない.多分同居している人とからの指摘(他の依存症と同様に指摘されると必ず否定するらしいが)、または独身の場合は最悪の状態、サラ金地獄にハマって気がつくことが多いのではないかと思う.観察していると、高給取りとか貧乏という収入にはあまり関係していない.ある人は自称とても貧乏で毎月のやり繰りが大変と言っていたが、私はこの人こそ「消費依存症」だと思った.なぜかと言うと、百均ショップが大好きで、必要もない品物を毎日のように買ったり・・・近所の八百屋で売れ残りで安かったからと一人で消費できくても(しかも3分の1は腐っていても)持ちきれないほどの野菜や果物を100円で買い、友人達に配るという趣味.ある人は、新製品のパソコンやカメラに目がなく、毎月のように新しく仕入れた新製品を見せられた.米国では、消費依存症が何年も前から深刻な問題になっている.そしてアルコール依存症ギャンブル依存症などの他の依存症と同様の扱いと治療を施すようだ.ある人は割と広い住宅に住んでいたが「モノ」でいっぱいになり、大きな倉庫を借りて毎日は使わないものを移動するのにトラックを借り、結局75トンもの不必要なモノを移動したという.それでも買い物を続けているとか・・・ 

日本でセールや飲食店で長蛇の列を作ること、奪い合うようにセール品を買う、年末年始の福袋を買うことも同様の依存症的な消費ではないだろうか?中国が現在日本に追いつく格好で、消費をしているのは、テレビでも良く見る光景だ.

中国のように人口が多いところが裕福になり、人々の購買力が増すと地球全体に影響を与える.その一つに「フカヒレ」がある.以前は僅かばかりの超裕福な人々が特別な時に消費したが、最近はみながいつでも食べるようになった.年間7000万以上のサメが殺されその数はどんどん上昇している.中国が高額で買うのでいくら各国が法律で禁止しようが、密漁があとを断たない.そしてサメさえも絶滅へのカウントダウンが始まったとされている.ある記事では、最後のサメが密漁されるのは2012年であろうという予測もされている.

もう一つ中国の市場で高額で売買されるために密猟が問題になっているのは、アフリカのサイ.サイの密猟も史上最高を更新している.あまりに酷いので、防御策として角に青酸カリのような毒(サイ自身には毒ではない)をしみ込ませるという極端なことまで考えられているぐらい緊急を要する事態なのだ.同様に緊急を要する事態に日本の魚介類の消費がある.特に本マグロは高額で売買されるので、サイと同様に緊急事態とされている.マグロは他の魚に比べ、繁殖に最低5年はかかるらしい.お金になるので繁殖前に密漁されてしまうので、どうしようもない状況がある.以前も書いたが、三菱は貴重になればなるほどカネになるという信念のもと、大量に冷凍保管しているらしい.

日本で原発事故の後、節電が叫ばれているが、一番の節電はモノの消費を控えることだ.日本全体の電力消費は、70%以上が製造業や商店、オフィスで使われているという.30%にも満たない家庭の電気消費をいくら節約してもたかがしれている.これからは必要もない電気製品を買わない、いくらエコな電化製品とはいえ買い替えない方がエネルギー節約になると私は思っている.買い替えをして廃棄物となった電気製品は外国へ輸出され、後進国の環境破壊に加担するか、国内でも田舎や山奥での不法投棄となる確率が高い.

抑制できない消費が我々を絶滅へと導いている.おもしろい話は、資本家も同様に「利益依存症」であるということを聞いた.目の前にカネのなる木を見るとほっておけないという依存症だ.巨大石油会社が、競争で世界中を掘っているのはその依存症なのだ.尖閣諸島問題も実は石油利権なのでは?北極の厚い氷の下や地中海でも石油が見つかり、掘ろうとしている.どんなに環境汚染をしようが、地球全体の破壊に繋がろうが辞められないらしい.丁度薬物依存症が親を殺してもその薬物、またはそれを買うお金をほしがるのと同じだ.

人口問題はこの40年間世界で問題になっている.「人口爆発」という著書が1970年頃出版され、ベストセラーになり当時の人々で知らない人はいないほど話題となった.それなのに、この40年で世界の人口は2倍になり、70億人に達するのは来月だ.地球の人類としてみると全く飢餓は減っていない.最近のソマリアの飢餓では1000万人以上が、気候変動や砂漠化など人類全体の責任でお腹を空かせている.南米ではストリートチルドレンが問題になり、日本やアメリカのように裕福な国の貧窮は増えている.世界各地の暴動や紛争は日々広がっている.資本家が利益依存症で消費者が消費依存症、そして人口は全く抑制できていない.これが理由で絶滅が近いという・・・ 産業革命以来Anthropoceneと言われる時代に入り、人間の活動が環境を破壊し、丁度イースター島の住民が絶滅したように、地球規模で人類が絶滅しようとしている.今から何をやろうが絶滅を防ぐことはできない、というのがPr. Frank Fenner氏の主張だ.

簡単で解り易い情報操作記事があったので、紹介したい.

Noro153+EN2011-09-24


フェイスブックの知り合いが書き込んだサンケイの記事「光速超えるニュートリノ・・」は、私もこういうニュースは大好きなので即読んだ.そして勿論他のメディア(英仏語)の記事も読んで、ひとつ考えさせられた.それは、事実は「スイスのジュネーブ郊外に本部があるCERN・欧州原子核研究機構のオペラ(という)研究グループが、ニュートリノが光速を超えると発表した.それはアインシュタインの理論を覆すことに・・」.以下はサンケイの記事:

光速超えるニュートリノ 「タイムマシン可能に」 専門家ら驚き「検証を」
2011.9.24 00:24
名古屋大などの国際研究グループが23日発表した、ニュートリノが光よりも速いという実験結果。光よりも速い物体が存在することになれば、アインシュタイン相対性理論で実現不可能とされた“タイムマシン”も可能になるかもしれない。これまでの物理学の常識を超えた結果に、専門家からは驚きとともに、徹底した検証を求める声があがっている。
概念変わる?
 「現代の理論物理がよって立つアインシュタインの理論を覆す大変な結果だ。本当ならタイムマシンも可能になる」と東大の村山斉・数物連携宇宙研究機構長は驚きを隠さない。

 アインシュタイン特殊相対性理論によると、質量のある物体の速度が光の速度に近づくと、その物体の時間の進み方は遅くなり、光速に達すると時間は止まってしまう。

 光速で動く物体が時間が止まった状態だとすると、それよりも速いニュートリノは時間をさかのぼっているのかもしれない。すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性もある。
 それだけに、村山氏は「結果が正しいかどうか、別の検証実験が不可欠だ。実験は遠く離れた2地点の間でニュートリノを飛ばし、所要時間を計るというシンプルなアイデア。正確さを確保するには双方の時計をきちんと合わせる必要があるが、これはそれほど簡単ではない」と語る。
新たな一歩に
 スーパーカミオカンデ実験を率いる東大の鈴木洋一郎教授も「別の機関による検証実験で、結果の正しさを確かめることが大事だ」と慎重な姿勢だ。

 鈴木氏は、昭和62年に小柴昌俊氏がニュートリノを検出した実験で、超新星爆発で出た光とニュートリノがほぼ同時に観測されたことを指摘。「両者の速度に今回のような違いがあるとすると、ニュートリノは光よりも1年は早く地球に到達していなければおかしいことになる」と語る。

 実験に参加した名古屋大の小松雅宏准教授は「実験に間違いがないかと検証を繰り返したが、否定できない結果になった。公表することで他の研究者による検証や追試が進み、物理学の新たな一歩につながれば」と話している。

何ら間違いはないが、世界のメディアやブロガーの一大ニュース記事をみると、日本人は出てこない.その代わり発表者である「CERN欧州原子核研究所のオペラ研究グループ」の名は、すべての外国語の記事には出てくる.サンケイの記事には、この名前は全く出てこない.そして、このオペラグループを率いているのは、ベルン大学のAntonio Ereditato氏.世界の200名近くの科学者たちによって、このオペラ研究グループは組織されているという.この中のもう一人の重要科学者は、Dr. de Rujula.その200名近くの科学者たちの中に日本人科学者も数名入っているらしい.実験に参加したとされる小松雅宏准教授の名前も、日本のメディア以外では見当たらない(このニュースに関して).

サンケイの記事だけを読むとまるで「日本が・・日本人科学者が・・」という「日本が世界の中心であるという錯覚」に陥りそうだ.これが典型的な日本のマスメディアの情報操作であり、国民を洗脳している.すべての分野、すべてのマスメディアはこうやって何十年もの間、日本人を操作してきたので、情報操作の達人になっている.百害あって一利なし.

科学や芸術やその他の分野での活動に「国籍」がどんどん無くなっている.このオペラグループを率いているAntonio Ereditato氏やDr. de Rujula氏の名前は書かれているが、国籍はどのニュース記事にも書かれていないので全く解らない.要するに国籍などどうでも良いのだ.問題は「人類」が何を発見したか、そしてそれは人類に何をもたらすかしかない.

以下幾つかの外国メディアの記事:
New York Times
Le Figaro
swissinfo.ch
The Gurdian UK

追記:日本のマスメディアだけではなく、米国も同じように情報操作をする巨大メディアが多い.最近CNNが全く信じられなくなり、同じように24時間放送する「Euronews や Aljazeera」を見ることが多い.しかし、完全に信用している訳ではないので、興味のあるニュースは様々なメディアで確認する習慣がついた.

昨晩ベルギーの国営第一放送で「経済とお金」の番組をやっていた.その中で「自発的に行なう質素生活」をする人たちを紹介していたが、すでに何千もの人々ができるだけお金を使わない反消費主義の生活をしているという.

Noro153+EN2011-09-22


様々な意見を持っている経済学者や大学教授のインタビューで驚いたのは、はっきりと「消費・資本主義を否定」する教授たちがそれに沿った授業をしていること.共通している考えは「有限である地球資源を基に、無限に利益を追求する大量消費の資本主義を成立させることは不可能」という思想だ.

貧乏だから質素な生活を余儀されるのではなく、上記の思想のもとに消費は最小限にして生活の質を向上させる生き方をしている人々が多いことは、非常に元気づけられた.

ある建築設計を生業にしている人は、元々持続可能でエコな家や建物の設計をしているが、娘達が成人すると完全に「反消費主義生活」へと移行した.庭で小麦を始めほとんどの食糧を自分で作る.寝る前に必ずすることは、翌日に焼く為のパンの小麦をひくこと.生活する為の仕事(畑仕事など)を優先するので、金のための設計の仕事は極力減らし、自転車移動でできる仕事だけをしている.必要な家具も自分で作っているそうだ.

ベルギーの南部の都市リエージュに近いところでは、反消費主義の集落がある.クルマや必要機器を共有し、協力し合ってできるだけ消費しない、循環でき持続可能な生活をしている.水を使わない「ドライトイレ」というのは初めて見たが、人間の廃棄物も野菜を作る為の肥料にしている.肉や乳製品のための家畜は環境には最悪である、ということから当然菜食だ.そこには「貧相さ」は全くなく、生活を楽しんでいることが充分に感じられる.

以前ベルギーで生活していたころは、人口数千人の村に住んでいた.ブリュッセルの中心部から30キロ南のとても裕福な人々が住んでいるところだが、節約主義は同様に感じられた.だからベルギーは元来日本やアメリカのような極端な消費主義は、根付かない国だと思っていたが、最近の海外からの移民や労働者とされる人々の消費が凄まじい.例えば貧しい国からベルギーに来て少し働くと何でも「カネで買える」、働かなくても生活が保障され、そのお金で高度な消費ができるので「金持ち」になった気分を味わえる.「経済のグローバル化」でこのような人々をターゲットにしたビジネスが、私がいなかったこの10年ぐらいで蔓延ってきたように感じられる.以前からあった巨大スーパーでは、日本の「百均」と同様に1ユーロコーナーで同様のモノが買える.昔はこんなことはあり得なかった.安いモノが溢れている光景も昔はあり得なかった.21%という高い消費税や社会保障として取られる税金は相変わらず高い上、人件費が高いので当然のごとく品物は高額であった.このような理由でベルギーでは「モノを大切にする」思想は、大昔からずっと変わらずに続いていたが・・.

この国のように短期間に大量消費主義社会になっていく現状を目の当たりにした人々は「どこかが間違っている」と考えずにはいられない(同時に地球環境の破壊、人口爆発などが問題になっているので).そして昨晩の番組のように昔、普通に「モノを大切にしつつ普通に消費をしていた」沢山の人々が「反消費主義」へと移行している.

経済・エコノミーという(欧米の)言葉は同時に「節約」という意味もある.有限の資源を節約しつつ、文化や生活の質の向上を考えるのが「経済学」ではなかったのだろうか?

アメリカや日本では今でも「大量生産と大量消費を推進」している.オバマ大統領の最近の演説でも「メイドインUSAを世界中に売りまくることで、雇用を増やし、再び世界一のアメリカにする」ことを強調していた.メイドインUSAを生産するには、外国から資源を調達(環境破壊)しなければいけない.今までも資源調達にはずるい方法で後進国から奪い取ってきた.資源を持っている後進国の人々は蔑ろにされ、30年、50年前の生活水準以下の生活を余儀なくされている.それを更なる卑怯な方法、弱肉強食で見殺しにするつもりなのだろうか?そしてすでに持っているモノを捨てさせ、新しいモノを買わせる・・・モノを買う為に奴隷のごとく働かせ、モノを買う為に借金をさせる.借金を払うために働き・・(という抜け出せないスパイラルにはまる)

ベルギーが1830年にオランダから独立した最大の理由は、(オランダ領であったのは数年)オランダがベルギーにあった森林をほとんど全て丸裸にするほど森林伐採をし、その木材資源を自国へと持って行ったことにある.沢山の犠牲を出した独立戦争だった.その後ベルギーは、英国に次いで世界で二番目の経済大国になったが、それはベルギーの植民地(コンゴなどの中央アフリカ)の資源で裕福な国になったことは、みなが自覚している.ベルギーは「植民地化され被害を被り、他の土地を植民地化してその富を奪い取った」という歴史がある.

2000年少し前から「経済のグローバル化」の名の下に多くの米国多国籍企業が、EUの首都であるベルギーは「利益を産む条件」が揃っていると判断し、土地の買収を始めた.昔住んでいた村も入る「ブラバントワロン」というブリュッセル南部の地域は、丁度東京23区を除いた3多摩地区と同面積ぐらいで、人口は3多摩の10分の一以下の35万人ほどだ.美しい自然がありブリュッセルに近いこともあって「多国籍企業」がここに狙いを定めた.ここを「開発」し、様々な観光施設やホテル、ビジネスパークや工場などを作る計画に素早く気付いたある人が、沢山の地主、村長、町長や有識者などを集め、米国や多国籍企業には絶対に土地を売らないし貸さないという抵抗をした.これが成功し、お陰で今でも素晴らしい自然と穏やかな生活(上の写真はその地域)が保障されている.例えば、元々あった欧州IBMの本部もブラバントワロンにあるが、その膨大な土地や建造物のほとんどは米国ホテルチェーンに売却され、森の中にある高級ホテルとして細々と営業している.そうでなくともベルギーの市町村の建築基準などの条例はとても厳しく、利益優先の企業が勝手なことはできないようになっている.

環境汚染のない、きれいな空気と水と生活の質の向上や自然環境を優先するか、果てしない利益追求の資本主義経済を優先するか・・・相反する二つの思想を同時に追求することは、完全に不可能だということが解ってきた.あなたならどちらを優先する?


数ヶ月前にベルギーで「公共の場でのブルカ(アラブの女性が顔を隠す為にかぶる衣装)禁止」の法律が施行された.何年もの間議論され、昨年議会で可決された法律で世界で二番目(最初はフランス)の施行となった.

Noro153+EN2011-09-21


ベルギーにいるほとんどの回教徒の女性は、ヒジャブと呼ばれるスカーフで髪の毛と首を隠すぐらいで、顔は出している.目以外は隠すブルカ禁止の法律に関係する女性は30人程度だと言う.私自身は見たことはないが、施行当日か翌日には数名が逮捕され、罰金刑になったニュースを見た.その時にフランス在住のアラブの富豪が(将来でも)この法律で罰金刑を受けた女性たちすべての罰金を払うと主張し、話題となった.そしてその富豪は、フランスとベルギーを「人権侵害でオランダの人権裁判所へ訴えた」ようだ.

フランスは100年以上前に出来た「宗教をアカラサマに見せつけるシンボルを身につけてはいけない」という法律の延長線として、ブルカ禁止の法律を可決施行した.その1905年に施行された法律の目的はキリスト教会から学校教育を引き離し、宗教とは関係ない教育を推進する為のものだったようだ.


ベルギーの場合は、ブルカやスカーフで通ってくる女生徒がスポーツの授業に弊害があったり、化学の実験でブルカやスカーフに火がついたりしたことが議論の発端となった.最近のテロの危険性から「アイデンティティ(顔)を隠す洋装は禁止」が名目上の理由.その裏には「回教徒の女性を解放する」という人権団体や弁護士たち、一般市民の思惑があったはずだ.十数年以上前に見たテレビ討論会では、ベルギー在住の数十万人の回教徒女性のスカーフも禁止したいという話があったが、さすがにそこまでは行かなかった.

ここで非常に難しい問題は、身につけるものの自由を訴える人々と、顔を隠すという文化は女性の人権や自由を奪っていると考える人々がいて、そのような他所の伝統文化をどう捉えるかだ.ブルカやスカーフの回教徒女性にこの話をすると、まず全員が「強制されているのではなく、好きでかぶっている」という答えが返ってくる.その時に他の文化の人々が「あなたは洗脳されているだけ、ブルカやスカーフはあなたの人権や自由を奪っている」と説得すべきだろうか?

30年ほど前にベルギーで航空会社に勤務していたころ、同期でとても仲良くしていた日本人女性が、突然「結婚するので仕事を辞める」と言った.その女性は「おてんば娘」という言葉がお似合いの活発でスポーツ万能、バリバリのキャリアウーマンタイプ.それなのに、(日本人)結婚相手が勤めている日本の某大企業の社則では、奥様達が仕事をすることを禁止しているからと言う.私は心の中で、なぜそんな女性蔑視の会社に勤める人と結婚なんかするの、と思ったが、口には出せなかった.その上彼女の話では、日本の一流企業はみなそうなのだとか・・・ 現在はどうなのだろう?

横浜で飲食店を経営していたころ、時々サラリーマン風のグループが来ていた.そして必ずその中の女性がコマメに動き全員の面倒をみつつ「お酌」をしていた.ある時見るに見かねて「なぜあなただけが、お酌をしているの?」と訊ねたら「好きだからやっているのですよ」という答えが返ってきた.何となくどこかで聞いた答えだ.

その飲食店があった横浜の野毛という飲食街は、戦後の闇市から始まり1970年前後をピークに廃れるだけの地域だが、数百軒の飲食店がひしめく現在でも横浜最大の飲食街だ.そこへ舞い戻り気が付かない内に、町内会のメンバーになってしまった.年に二回大きな集まりが催された.横浜では重要な場所なので、市長はじめ役所の局長たちや政治家たちが招待され、スピーチをする.数百人の正式町内会メンバーの中で私が唯一の女性だったこともしばしばあった.他の女性参加者はみな接待係だ.(私は一度も接待係はしていない)ある参加者に「天井に張り付いてこのドブネズミたちの写真を撮りたい」と言ったらもちろん主旨は解ってもらえなかった.あの(男性だけという)光景を普通だと思うのは多分日本人だけだと思う.

日本の男尊女卑は何年も前から、外の世界では話題になっている.ただ、回教徒のスカーフやブルカと同様に「他文化の人間が批判しても・・」というように微妙な話題だ.スイスにある世界経済フォーラムというところが、数年前から「男女平等指数」という統計を年に一度(11月初旬)発表している.日本は2006年には調査対象が100カ国未満中79位、その後調査対象国が増えるにつれてどんどん順位が下がり、確か最低は140位台、最近は99位ぐらいになったと記憶している.何しろ日本にとって恥ずかしいニュースは日本のメディアが取り上げない.

ある時の国連の人権委員会の調査で、世界の人身売買「日本が第二位」となった.そして日本の最大の拠点が横浜の野毛に隣接した地域だった.大岡川沿いの昔からある「売春街」だ.当時の横浜市長は慌ててその地域を一掃したが、問題は何も解決しない.何しろ暴力団と警察が関わっている.その後も少し場所を移動し、相変わらず白人やアジア人の「タチンボ」たちが沢山いた.その女性たちは多分騙され、日本に来てしまった人々.日本にはそのような人たちを救出する人権団体はまともに機能していないようだ.

話は変わって、アフリカのある地域で女性性器削除という伝統文化がある.それが昔から続いている伝統であるからと外の世界の人々が目を瞑ることが正解だろうか?南アフリカのズルの地域では、十代後半の若者達が成人になる儀式として、40人同時に一匹の雄牛を素手で(非常に残虐なやり方で)殺すことが伝統行事だ.この場合被害者は牛なので、動物愛護団体が異議を唱えることできる.

話を日本の女性蔑視の社会に戻すと、これは日本社会にとって非常にマイナスになっている.外への顔としてではなく、優秀な人材確保という観点からだ.幼稚園から大学の先生、企業の入社試験官までが認めるように、日本の女性は世界標準以上にできが良い.某大手IT企業の入社試験を担当していた人から聞いた話では、ITエンジニアという一見男性職に思える業種でも男女差なしに試験をしたら女性が9割以上になってしまうので、男性には下駄を履かせてバランスを取っているという.それは大学入試でも同様だということは沢山の大学関係者から聞いた.いくら女性を下に置いておくことが伝統でも、今の世の中では優秀な人材として女性が普通に活躍できる社会でないと世界から取り残されてしまうのではないだろうか・・・

日本を離れ一年以上になるが、改めて日本人のマスコミ信仰の根が深いことに気がついた.

Noro153+EN2011-09-20


原発事故が切っ掛けで、日本の権力3兄弟(大企業、官僚、マスコミ)のウソや情報操作のことを話す人々が増え、昨日の反原発デモも6万人を集める一大デモとなったことは、世界中で報道された.非常に喜ばしいが、問題はまだ山積みとなっている.

私は4月頃から、ある反原発グループのメーリングリストに登録し、注意深くウォッチしているが、興味深い会話がなされていた.ある人"A"がこのような書き込みをした.

9/20の新聞は全部チェックしました。日経・読売は一切記事なし。産経は小さな囲み記事、朝日はなるほど1面扱いはするが、社会面でのフォローなしでいかにも朝日らしい(どっちつかずの様子見)毎日は1面と社会面のとなりでフォロー、東京は1面、こちら特捜部で特集、さらに社会面の隣で特集記事最大の扱い。東京がダントツです。どうして皆さんは東京新聞を購読しないのですか?未だに朝日や日経を購読しているのですか?私は理解できません。購読拒否が最大の意思表示ではないですか、そのためにはまず自動引き落としをやめることです。NHKは7時のニュースで全く取り扱わず、私は確認の上、抗議のTELをしました。電話はなかなかつながらなかったのですが、電話の女性は6時5分のニュースで取り扱ったの一点張りで、どうやら抗議が殺到していることが伺われました。聴取料を今後払うのをやめるというと、初めて彼女は慌てました。

この人によると、東京新聞NHKに購読料、聴取料を払うのはOKだが、他の新聞は(反原発の記事を扱わないので)良くない.私には、日本のすべてのテレビや新聞などの全マスコミは「百害あって一利なし」.数ヶ月前にはこのグループの別の人が、NHK原発に関するドキュメンタリーを見たとたんに同じ反原発MLで「安全が保障されるなら原発も良いのかとも思っている」とびっくり発言まで出てきた.日本のマスコミは操作と洗脳のプロで、どのマスメディアなら良いというのはなく、日本のジャーナリズム自体に問題があると思っている.記事が出る、出ないも問題だが、どのような視点から記事を書いているかが、最重要になることは間違いない.

欧州では沢山の言語が行き交い、同じフランス語の新聞やテレビといってもフランス、ベルギー、スイスと通じる言葉が国境を超え、ブリュッセルでもテレビは百を超える局の放映が見られる.もし、どこかのマスメディアがウソの記事を書いたり、プロパガンダ放送があれば即刻別のメディアなどが国を超え批判や反論がなされる.それを沢山の国々の人々が見ることになる.こうして民主主義や正義が維持され、言論や表現の自由が危なくなることを防いでいる.欧州各国では、戦後の教育の中で一番大事なのが、外国語を習得することにある.その理由は繰り返し興った戦争や独裁政権を早期に発見し、防ぐ為にも「外からの情報や知識」が最重要であるということにある.人間はみな気が付かない内に何らかの洗脳を受けてしまうが、できるだけ違う沢山の情報になれていると判断力や思考力が付いてくる.

日本語だけとなると、残念ながら「日本の権力3兄弟」からの洗脳を防ぐことは非常に難しい.グーグル翻訳でさえ、外国語から日本語への翻訳も全く使い物にならない.ネットの外国メディアの日本語版も日本語にする人たちがすでに何らかの検閲をしている.何年も前に(横浜市の)とても活動力があり、市民の味方である某革新女性議員とある事件のことで、責任者である役人たちを呼び話し合いをした.その役人達のあまりに横柄な態度に「私が男性で一緒にいるのが男性議員なら態度が違っているだろう」と後にその女性議員に話したら、彼女は全く役人達の横柄さに気がついていなかった.1999年に久しぶりに日本へ戻って、一番最初の逆カルチャーショックは社会全体の「男尊女卑」だ.しかし、日本でしか生活したことがなく日本語しかできない人々には、それは感じられないのかもしれない.

日本の新聞社に購読料を払うことは、投資をし支援していることになる.いくら電話などで抗議しようが、日本全体の「ジャーナリズム」が世界標準にならない限り無駄金であり、更なる日本国民の洗脳に使われてしまう.多くの人々がテレビのデジタル化を切っ掛けに、テレビ自体を見るのを止めたという.私はこういう人々に大賛成だ.新聞をチェックすることが目的ならネットや図書館へ行けば良い.時々日本のテレビのバカバカしさを再確認したければ、ネットからできる.(この無料ソフトをダウンロードすると日本のテレビやラジオを世界中で視聴できる)

日本の問題は原発だけではなく、すべての政治、経済、社会分野に満遍なく行き渡っていることをぜひ認識してほしい.そのためには、既得権益を守り通そうと必死になっているマスメディアを支援するのを止めることから始めなければいけない.

追記:ゼロ戦を作っていた三菱重工が現在でも巨大な武器製造業だというびっくりニュースを最近知った.
http://www.reuters.com/article/2011/09/19/mitsubishiheavy-computer-idUSL3E7KJ0BD20110919
http://www.theinquirer.net/inquirer/news/2110452/japanese-government-slams-mitsubishi-disclosing-cyber-attack
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2039220/Mitsubishi-Heavy-cyber-attack-Japans-defence-secrets-stolen.html?ito=feeds-newsxml