この二つの理由で人類は100年以内に絶滅する、と主張する科学者の記事を数ヶ月前に読んでショックを受けた.天然痘を撲滅させるために貢献したフランク・フェンナーというオーストラリアの科学者だ.

Noro153+EN2011-09-25


以前書いたように1999年に日本に戻った時の最初の逆カルチャーショックは、女性蔑視がより悪い方向へいっていることだが、次の逆カルチャーショックは日本の「消費主義」.日曜日などの休日に、家族でショッピングセンターやデパートなどに行くことが、娯楽になっていることがどうしても理解できなかった(できない).現在は解らないが、ドイツと英国の商店は完全に土日は閉まっていた.ベルギーは日曜日だけが完全休業で、土曜日はほとんどのお店は早めに終了する.飲食店で週末閉めるところは多いが普通は営業しているので、週末にレストランへ食事に行く家族は多い.ブリュッセルの中心部は観光客が多いのでほとんどの飲食店は営業しているが、商店はやはり閉まっている.そして数週間前に見た番組では、欧州人の平均買い物に使う時間は、米国人の10分の1程度だという話.欧州人と日本人や米国人と比べると一番大きな違いは、欧州人は幸福感とモノを買えることは、関係ないと思っていること.日本や米国は、幸福感とモノを買えることはとても近いと多分多くの人々は思っている.最近の調査でも、破綻寸前のギリシャは欧州で二番目、80%の人々が幸せであると感じ、次にやはり経済危機が懸念されているイタリア、フランスと続いている.残念ながらその調査にベルギーは入っていないが、フランス以上の%の人々が幸せと感じているのではないかと想像する.

横浜で飲食店をやっていたので、沢山の人々とコミュニケーションができたが、その中には明らかに「消費依存症」と思われる人が数名いた.消費依存症とは他の依存症と同様の症状でほとんどの人が気がつかない.多分同居している人とからの指摘(他の依存症と同様に指摘されると必ず否定するらしいが)、または独身の場合は最悪の状態、サラ金地獄にハマって気がつくことが多いのではないかと思う.観察していると、高給取りとか貧乏という収入にはあまり関係していない.ある人は自称とても貧乏で毎月のやり繰りが大変と言っていたが、私はこの人こそ「消費依存症」だと思った.なぜかと言うと、百均ショップが大好きで、必要もない品物を毎日のように買ったり・・・近所の八百屋で売れ残りで安かったからと一人で消費できくても(しかも3分の1は腐っていても)持ちきれないほどの野菜や果物を100円で買い、友人達に配るという趣味.ある人は、新製品のパソコンやカメラに目がなく、毎月のように新しく仕入れた新製品を見せられた.米国では、消費依存症が何年も前から深刻な問題になっている.そしてアルコール依存症ギャンブル依存症などの他の依存症と同様の扱いと治療を施すようだ.ある人は割と広い住宅に住んでいたが「モノ」でいっぱいになり、大きな倉庫を借りて毎日は使わないものを移動するのにトラックを借り、結局75トンもの不必要なモノを移動したという.それでも買い物を続けているとか・・・ 

日本でセールや飲食店で長蛇の列を作ること、奪い合うようにセール品を買う、年末年始の福袋を買うことも同様の依存症的な消費ではないだろうか?中国が現在日本に追いつく格好で、消費をしているのは、テレビでも良く見る光景だ.

中国のように人口が多いところが裕福になり、人々の購買力が増すと地球全体に影響を与える.その一つに「フカヒレ」がある.以前は僅かばかりの超裕福な人々が特別な時に消費したが、最近はみながいつでも食べるようになった.年間7000万以上のサメが殺されその数はどんどん上昇している.中国が高額で買うのでいくら各国が法律で禁止しようが、密漁があとを断たない.そしてサメさえも絶滅へのカウントダウンが始まったとされている.ある記事では、最後のサメが密漁されるのは2012年であろうという予測もされている.

もう一つ中国の市場で高額で売買されるために密猟が問題になっているのは、アフリカのサイ.サイの密猟も史上最高を更新している.あまりに酷いので、防御策として角に青酸カリのような毒(サイ自身には毒ではない)をしみ込ませるという極端なことまで考えられているぐらい緊急を要する事態なのだ.同様に緊急を要する事態に日本の魚介類の消費がある.特に本マグロは高額で売買されるので、サイと同様に緊急事態とされている.マグロは他の魚に比べ、繁殖に最低5年はかかるらしい.お金になるので繁殖前に密漁されてしまうので、どうしようもない状況がある.以前も書いたが、三菱は貴重になればなるほどカネになるという信念のもと、大量に冷凍保管しているらしい.

日本で原発事故の後、節電が叫ばれているが、一番の節電はモノの消費を控えることだ.日本全体の電力消費は、70%以上が製造業や商店、オフィスで使われているという.30%にも満たない家庭の電気消費をいくら節約してもたかがしれている.これからは必要もない電気製品を買わない、いくらエコな電化製品とはいえ買い替えない方がエネルギー節約になると私は思っている.買い替えをして廃棄物となった電気製品は外国へ輸出され、後進国の環境破壊に加担するか、国内でも田舎や山奥での不法投棄となる確率が高い.

抑制できない消費が我々を絶滅へと導いている.おもしろい話は、資本家も同様に「利益依存症」であるということを聞いた.目の前にカネのなる木を見るとほっておけないという依存症だ.巨大石油会社が、競争で世界中を掘っているのはその依存症なのだ.尖閣諸島問題も実は石油利権なのでは?北極の厚い氷の下や地中海でも石油が見つかり、掘ろうとしている.どんなに環境汚染をしようが、地球全体の破壊に繋がろうが辞められないらしい.丁度薬物依存症が親を殺してもその薬物、またはそれを買うお金をほしがるのと同じだ.

人口問題はこの40年間世界で問題になっている.「人口爆発」という著書が1970年頃出版され、ベストセラーになり当時の人々で知らない人はいないほど話題となった.それなのに、この40年で世界の人口は2倍になり、70億人に達するのは来月だ.地球の人類としてみると全く飢餓は減っていない.最近のソマリアの飢餓では1000万人以上が、気候変動や砂漠化など人類全体の責任でお腹を空かせている.南米ではストリートチルドレンが問題になり、日本やアメリカのように裕福な国の貧窮は増えている.世界各地の暴動や紛争は日々広がっている.資本家が利益依存症で消費者が消費依存症、そして人口は全く抑制できていない.これが理由で絶滅が近いという・・・ 産業革命以来Anthropoceneと言われる時代に入り、人間の活動が環境を破壊し、丁度イースター島の住民が絶滅したように、地球規模で人類が絶滅しようとしている.今から何をやろうが絶滅を防ぐことはできない、というのがPr. Frank Fenner氏の主張だ.