世界のどこに住んでいても、今はもうのんびりとした生活はできない時代に突入してしまった.長らく続いた金融資本主義が分厚い壁にぶち当たり、民主主義にも疑問が出ていることをみなが経験している.それに、地球が有限であるという事実、抑制できない人口増加を考えずに、ビジネスをしたり生活することはできない.

Noro153+EN2011-08-05


洗脳や誘導されないため、または独りよがりで将来性のない、無駄なことにお金や時間を使わないためには、世界をできるだけ俯瞰的に見る必要がある.

まだ横浜で飲食店をやっていた2008年ごろ、ある常連客が、「友人が新しく本屋を開店するので、手伝うことにした」という話をしてくれた.その時、なぜ紙の出版物が消えようとしている時に、わざわざ大金を投じて”将来性のない本屋”など始めるのだろう、とその常連客と話した.「特殊なオタク系の本屋だから大丈夫」と言っていたが、案の定一年保たずに倒産した.

別の常連客は資本家で、常に新しいビジネスや投資先を探していた.どれも私にはピンとくる話はなかった.ある時、ビジネスとして「都会での蜂蜜作り」の話をしてくれたが、賛成もしないし興味は無かった.ベルギーに来て一年経った今なら「やめた方がいい」とはっきり言える.なぜかというとベルギーもそうだが、世界的には肉食を始め「動物や他の生き物の犠牲のもとに生きる」こと自体に沢山の人々が疑問を持ち始めているからだ.そう言えば、蜂蜜屋さんを見なくなったし、スーパーでも見たこと無い・・・

私が横浜へ行ったのは、1999年.バブル崩壊の話は常連客達から聞いていたが、改めてネットで調べてみた.
「『バブルの崩壊』は、あるとき一瞬にして起きた現象ではない。各種指標ではある瞬間に最大値を取り、理論上、そこでバブル崩壊が始まったわけだが、それは単なる序章に過ぎなかった。バブル崩壊は、開始から数年間をかけて徐々に生じた過渡的現象である。現象の進行は地域や指標の取り方によっても異なり、例えばマンションの平均分譲価格を見ても、東京と大阪ではピークに約一年の差がある。東京でバブルの崩壊が発生し始めた時、大阪ではまだバブルが続いていた、とも言える。また北海道、東北、四国、九州など1992年頃まで地価が高騰していた地方都市もあり、俗に『バブルが弾けた』というが、あたかも風船やシャボン玉がある瞬間に破裂したかのような瞬間的な現象ではない。」--->>日本語ウィキペディアより

そのまっただ中では、バブルということが解らず、後になってあの時期は「バブルであった」となったようだ.バブルの絶頂期と言われるのは、1980年代の後半だそうだ.丁度1988年の夏、私は子供二人をつれて久々に横浜へ行った.物価は異常に高い、新聞と一緒に入ってくるマンションのチラシは、ほぼすべて億単位.人々は「買い物の話」しかしない.欧州のように子供を連れて行くところはない.どこへ行っても人、人、人.滞在期間を2週間短縮し、子供を連れ次の予定地、フィリピンへ発ってしまった.で、その時に「もう二度と日本の地を踏むことはないだろう」と思い、実際母の死まで日本へ行くことはなかった.あの異常事態になぜみんな異常だと思わないのだろう、と不思議でもあった.

多分当時でも世界を観ていた経済専門家達は、その異常を解っていたのではないか?だからそのための用意、不動産投資は売り払うなどをしていたのではないかと思う.だからバブルで損をした人たちは、世界を俯瞰的に観ることなく、伊の川の蛙であったはず.

余計な話かもしれないが、戦中に横須賀にいた海軍の上層部は、日本が爆撃を受けることを知っていて、鎌倉(絶対に米軍は爆撃しないことも知っていた)に土地家屋を買い、家族を住まわせていたという事実がある.今回の福島原発事故も同じように、東電の幹部や政治家たちは即家族を西方向や外国へ避難させていた、と聞いた.それに自主避難をした人たちには補償もでないとか・・・

私が言いたいのは、日本の政府は本当のことは言わないし、企業を守っても、一般の国民を守ることはしない.テレビや新聞はもう100%操作することだけが目的.ということは、自分や家族の身は自分で守るしかない.

日本では、バブル崩壊という教訓がある.現在はそれ以上の世界の経済の崩壊が懸念されている.日本のテレビや新聞は「日本にはあまり関係ない」みたいな報道をしているが、世界の経済はひとつなので、日本に影響がない訳がない.イスラエルでさえ、何十万人もの中産階級が反政府デモを続けている、「我々は40年間騙されていたんだ」と.スペインはもう3ヶ月もデモや反政府集会が続いている.エジプト、シリア、リビア、イタリアなど反政府市民デモのニュースが毎日伝えられている.

私は、お金を稼ぐことは最小限にし、それ以外に楽しい有意義な人生を送りたいと思っている.ベルギーへ戻り、実に沢山の人々が同様に考えていることに勇気づけられている.

追記:ところで、放射能の汚染がネットでは騒がれているが、ぜひ「水俣病」の経緯を観てほしい.なぜかというと、最初に水俣病の症状が発見されてから、政府が完全に責任を認めるまで実に60年以上かかっている.福島原発事故も被害者になってしまったら、同じように何十年も闘わなくてはいけなくなる.そういうことがないように、ぜひ世界中を眺めてほしい.外国語は必須、グーグルの翻訳も日本語にはまだまだ頼ることができないので.

追記2:写真はクロアチアのザダールから船で離島へ行った.人は住んでいなくて、野生のロバの天国.赤ちゃんロバと仲良くなった.