ギリシャに続き、イタリアも経済危機が問題になっている中、人口550人の小さな町(Filettino)が、独立を宣言した.紙幣まで印刷し、町中で使用可能という.

Noro153+EN2011-09-04


発端は、中央政府から「1000人以下の市町村は、経費節約のために周りの市町村と合併する方向へ話し合いを始めること」という通達を受け、合併せずに独立を考え始めた.町長が先頭に立ち、資源や人材など様々な角度から独立の可能性を調査した結果、可能であると判断した.

ウィキペディアを見てもかなり広い地域(77.66 ㎢ 密度7.1人/㎢)で、丁度川崎市の半分ぐらい.ただし、1921年の2841人をピークに人口は減り続けている.

独立宣言後の新しいサイト、http://www.principatodifilettino.com/ に沢山のビデオがアップされているので、見てみると山間のとても美しい町だ.独立の話しが出て、沢山の観光客、テレビ局、ジャーナリストなどが連日押し掛けているという.すでに使用可能な紙幣("Fiorito"・フィオリト)は、2ユーロ=1フィオリトで取引され、観光客に大人気だと言う.

ベルギーも同様だが、イタリアも今の国の形になって200年は経っていないはず.それまでは、都市国家でそれぞれの都市とその地域は、貴族や豪族に率いられ、地域としてのアイデンティティが強い.このフィレティーノという町も、過去に追放になった貴族を招き入れ、Principality of Filettino、フィレティーノ公国と呼ばれるらしい.

5月にギリシャの無名な小島(人口6千人)、スキアトスへ行ってびっくりしたが、国が大破綻しても小島としての活気は凄い.何がそうさせているのか見ているとやはり、昔からの伝統的生活が続いているのと、無理な開発がない.だから、地図に出ている道路も半分は無いに等しい(スクーターで島中を大冒険したので・・).エーゲ海にあるので、もちろん夏には観光客が来るので、貸別荘のための開発はあるが・・

ベルギー、ギリシャ、イタリアを見ると地方の市町村の活気というのが、日本とは違うような気がする.日本はあくまで中央集権が徹底しているが、欧州は歴史がちゃんと生きていて、この50年ぐらいで貨幣主義に移行し、それが駄目になろうとも数千年の伝統はちゃんと継続している.というように私には見える.

以前沖縄の伊平屋島の話しを書いたが、日本でも人口の少ない地方自治体こそ国に振り回されずに独立自治を目指してほしいと思う.

追記:小さな共同体で、自分が想いを寄せる生まれ故郷を、私利私欲で駄目にしようとは思わないはず.だから汚職は起りにくい・・・