商品というモノについてのとても解りやすいビデオを見つけた.日本語字幕付きで4本ある.モノが溢れている時代だけど、現代の経済の仕組みを理解し、責任のある消費を心がけようという発想だ.ビデオ自体はアメリカ人が作ったものだけど、全く日本の現状にも当てはまる.

Noro153+EN2011-08-20


商品の一生には5つの過程がある.
1.資源の採取、または搾取
2.生産
3.流通
4.消費
5.廃棄
こういうシステムで流れている.この全ての工程で今、行き詰まりによる大問題が生じている.どうしてかというと、地球は有限なので、1から5へ一方向へ流れるシステムは絶対に無理だから.

右上の写真は、企業が政府より金持ちになり、政府が企業に対してごまをするようになってしまい、人々より企業を優先させるという漫画.事実日本でも原発事故の処理を見ると、それが明らかで沢山の人々が気がついてきた.

さて、1に関する問題は「天然資源略奪」でつまり、地球環境破壊のこと.樹木を伐採し、金属を採取するために山を破壊する.その結果野生の動物もいなくなり、水も汚染された.アメリカでは、原生林は4%以下しか残っていない.川の水の40%は飲めなくなった.そして、この行き詰まりに対して行なったことは、他国の資源を奪うこと.特に後進国の資源を自分たちのものとして使い、同じように土地を破壊する.

世界の75%の水産資源が乱獲され、原生林の80%はすでに消えた.アマゾンは毎分2000本の木が伐採されている.そこには沢山の原住民が住んでいるが、政府と企業によると「地元の人には資源の所有を認めない.生産手段も消費も少ないから」つまりこのシステムでは所有も消費もしていない人は「価値がない」ということ.

2の生産過程の問題は、エネルギーを使い、天然資源と有害物質で有害物質を作ること.ほとんど合成化学物質は健康への影響は検査されていない.その上複合毒素などは一切検査されていない.そして私たちは毎日この化学物質にさらされている.例えば、耐火性建材は耐火には高くても毒性が強い.

世界では毎日20万人が先祖の土地を捨てて、大都市へ移動している.大半がスラムに住み、危険とか有害とかはおかまいなしで仕事をしている.地球資源の崩壊だけでなく、人も地域も崩壊させている.製造工程での副産物の汚染は更に酷い.アメリカの汚染排出量は年間180万トンというが、本当はもっと多いはず.この行き詰まりで、汚い工場は汚染と一緒に海外へ移転.

3の流通での問題点は、仕入れたものを急いで売りさばくこと.そのために価格を下げて売り続けること.本当の費用が値段に反映されていない.例えば、かわいいラジオが$4.99という値段.多分金属はアフリカから、石油はイラク、プラスチックは中国、そして組み立てはメキシコ.この値段は商品だな代にも、店員の給料にも、船やトラック代にもならない.だれが対価を払ったかというと、天然資源を犠牲にし、工場があるところはきれいな空気を犠牲にして対価を払っている.今後では、30%の子供たちが石炭や金属を掘るために学校を止めた(私たちが使い捨てにする安い金属のために)そのような労働者たちは健康保険にも入れてもらえず、使い捨てられている.こうして沢山の人々や環境を犠牲にしているから、ラジオが$4.99で買えた.これらのことは帳簿にも記載されていない、”生産コストを外部化する”.

4の消費.これがシステムの原動力.政府と企業にとって最も重要なこと.9.11直後、アメリカ国民がショックの中、ブッシュ大統領が言ったのは「買い物しなさい」.私たちは消費天国で、国民のアイデンティティは消費者.人間としての価値は消費者としての貢献度で決まる.

北米で販売から半年たって、廃棄されずに残っているものはたったの1%.つまり生産されたモノの99%が、半年以内にゴミとして廃棄される.私たちの消費量は50年で2倍になった.お年寄りは「倹約が美徳だった」という.どうしてこうなったかというと、仕掛けがあったから.戦後すぐに政府と企業は景気対策を練った.その時に専門家のルポーが提案した「生産性溢れるアメリカ経済は、消費を生き甲斐にし、購買とモノの使い方を儀式化する.その中に精神的充実を求めるようにする.そして消費、買い替え、廃棄をもっと加速化すべきだ」ということが採用された.消費が美徳になり、教育や医療などよりも大事になった.

計画的と心理的という二つの方法でモノを廃れさせる戦略が採用された.計画的というのは、モノをすぐに壊れるようにする.そうすると捨てやすくなり買い替えが進む.全てのモノの生産にこれが採用された.例えば、パソコンは凄い技術革新が進んでいる.本当は小さな部品だけを交換すれば良いが、別の形にして交換できないようにし、全部を捨てて新品を買う.これが捨てやすい設計.または、消費者の信頼を守りつつ別のモノを買わせる.心理的に働きかけるには、外観を買えたり、古いものを使っていたら恥ずかしいと思わせる作戦(消費することに人間の価値がある).テレビや雑誌などのメディアがその役割を果たしている.アメリカ人は毎日3000以上の広告にさらされている.一年で50年前の人の一生分に当たる.

広告は自分への不満を募るだけ.あなたの髪の毛がだめ、お肌もだめ、ファッションもだめ、買い物にでかければ全ての問題が解決します・・・と.メディアはすべての行き詰まりの問題を隠して「買い物」だけを強調する.モノが溢れている時代なのに、私たちの幸福度は下がっている.丁度大量消費ブームが始まる50年代をピークに幸福度は下降し続けている.それは、モノが増えると本当に幸せにしてくれる事への時間がなくなるから.友人、家族、休暇などより仕事を優先する.今は休暇の時間が封建時代より少ないらしい.今はなけなしの暇の時間を二つのことに使っている.一つはテレビをみること、そして買い物.アメリカ人はヨーロッパ人の4倍の時間を買い物に使っている.仕事→テレビ→広告→買い物、ローンで買ったものの支払いをするために、更にもっと仕事をする.もっと疲れてもっとテレビを見る・・・悪循環から離れられない.

アメリカ人の家の広さは70年代の2倍になったのに、買ったもの全ては収納しきれない.だからゴミとして廃棄する.アメリカ人は一日一人あたり約2キロのゴミを出す.これは30年前の2倍だ.ゴミは穴を掘って埋めるか、もっとひどい処理は焼却してから地面に埋める.生産段階で入れられた毒が焼却によって大気中に排出される時に、ダイオキシンのような猛毒が生まれる.ゴミ焼却場は一番のダイオキシンの発生源.なので、ゴミの焼却を止めればこの猛毒物質の発生源を断つことができる.今自国でゴミ処理をしたくないので、廃棄物も海外へ輸出されている.

という訳で、このシステムは行き詰まりだらけ.気候変動から幸福度まで限界がきている.新しい考え方は持続可能であることと公平さをもとにした考え方だ.例えば、グリーン化学、廃棄物ゼロ、再生可能エネルギー、地域共生経済等.これらはすでに世界各地で始まっている.消費主義、浪費主義を続けることは、非現実的だ.この古いシステムは自然にできたものではない.人がかってに作ったシステムなので、また私たちが新しく作り替えましょう、という内容のビデオ.