電化製品について書き忘れたので前回の続き.私は基本的に家庭電化製品はあまり必要だとは思っていない.現在のアパートでも1年近く掃除機なしで過ごした.

Noro153+EN2011-08-14


一ヶ月ほど前に掃除機とテレビを買ったが、理由は今住んでいるアパートを人に又貸しして、別の国へ行く計画があるからだ.(その後ベルギーが面白くなって、計画はどうするか思案中)

日本の人々は実に良く家庭電化製品を買い替えるが、ベルギーでは一度買ったら10年や20年は同じ物を使うのが普通だ.貨幣原理主義、大量消費社会では「すぐに壊れるもの」を作らないとその貨幣社会が回っていかない.それで、日本では「すぐに壊れる、または補償期間がすぎるとすぐに壊れる」という話しを良く聞く.

日本でも戦後から1960年代までは、とても質の良い電化製品を作っていた.この写真は私のお店で一年半ぐらい前に撮った.黄色の円の中に見えるのは、小さな「電気たまごゆで器」.私が小学生のころに母が買ったもので、50年経っている.多分お店を継続した人が今でも使っていると思うが、とてもシンプルで発明した人は凄い.お水を微量調整して半熟の加減も実に良く調節できる.専属のカップの水を中に入れ、水が蒸発してなくなるとスイッチが切れる.あの時代の炊飯器「電気釜」も同じシステムだったような気がする.

ベルギーの地方市町村はいつ行っても、とても活気がある.以前はそんなこと当たり前だとおもっていたが、日本に去年まで住んでいたときに地方都市の衰退(住んでいた横浜も含め)をまざまざと見せつけられた.遠くの地方はもっと酷いという話は、客たちから散々聞いた.

何が違うのかを考えると(国としての経済はベルギーも最悪だが)ベルギーのほとんどの地方市町村は国の歴史よりずっと長い.1000年とか2000年以上の歴史がある.欧州大陸は「国」という概念より、市町村の方が実感として強い.特にベルギーという国は、勿論革命で勝ち得た自立国だが、人工的に作られ雇われ皇族をドイツから招き入れた.言葉も北と南では違う.その上、無政府国として毎日ギネス世界記録を更新している.すでに400日以上無政府状態が続いている.その割に普通の人々は安定した平和な生活が継続されているのは、地方自治体がしっかりして一番大事なのは「自分の村や町」という歴史が長いからだ.それに経済より人々の生活を優先する福祉国家だからかもしれない.例えば、各集落には必ず週に1〜2回朝市がたつ.そこでは生鮮食料品や生活必需品が手に入る.多分集落ができたと同時にこういう市も始まったのではないかと思うが、現在でも全く廃れることなく続いている.周辺の農家、酪農家、家内工業などを営む人々が自分たちが作った作物を売りにくる.新規参入するスーパーや大きな商店は、その地方自治体が許可を出すので、地元の商店や市を廃業に追いやることはほとんどない.長い歴史の間に、そこの住民が必要としている物作りが自然に発生し、大工さん、靴屋、薬屋、医者、車の修理屋、水道屋等などが普通にある集落ができる.最近ベルギーの地方自治体の人口の推移を見たが、どの地方自治体も満遍なくごく僅かに人口増加している.

日本は特に戦後、全てを犠牲にし経済を優先した.便利な首都圏に工場や会社を作り、地方の子供達を集団就職させた.それに日本中を開発という名の自然破壊で、元々あった集落を崩壊させてしまった.地方の市町村は「できるだけ東京のように」と大量消費型の町に変貌させ、国の経済が駄目になると一緒に傾いてしまった.

理想は、小さな自治体でできる限り地産地消、自給自足する社会.そうすると国のお金ではなく、地域通貨や物々交換、物と労働の交換などができて、イス取りゲームではじき出される人もいない社会が作れる.世界の市場原理主義からあまり影響を受けなくてすむ.世界情勢がどのようになろうとも食べていける準備をしなくてはいけないとつくづく感じる.(それほど世界情勢は悪い方向へ向かっている)

因に、現在は解らないが、2000年までのベルギー、欧州は食糧自給率100%以上を続けていた.

日本政府はいざとなると全く国民の面倒をみない(戦争の時と同じ)という事実が、今回の原発事故処理でみなが解った.これは日本だけではなく米国も同じように国民より「企業」が優先する.

追記:理想の自治体では、日本独自のなあなあな談合や村八分がないことが前提.自分の頭の中で沖縄の伊平屋島(母の出生地)みたいな小さな島を想像すると簡単にできそうだが、問題は腐敗した島の権力者たち.ということを思い出し、追記とした.