日本や世界中の犯罪のニュースを見ていると、ほとんどの場合、根底には必ず「お金」が絡んでいる.巨大な企業や権力が更なる利益のために、犯罪を犯す場合、弱肉強食で潰れそうな中小企業が、生き延びるために詐欺などの犯罪を犯す.食べるものがないホームレスや失業者が食べ物を盗んだり、窃盗を犯す・・・・

Noro153+EN2011-08-12


日本のホームレスのほとんどは、自分たちの置かれた立場を自分がいけないのだ、と思い込んでいるが、そうではなくて「貨幣資本主義」は、イス取りゲームと同じで必ず外にはみ出す人々を作るのだそうだ.何十人も使って会社を経営していた人が借金まみれになり、あえてホームレスになったり、仕事がなく、いき場所を失った人々がホームレスになったりといろいろだが、決して彼らが「怠け者だから」ではない.社会のシステムがそうなっている.

ベルギーの場合は社会保障がしっかりしているので、以前(2000年以前)は全く乞食のような人を見なかったが、最近は時々見るようになった.☞これはまた別の機会に書きます.

日本のほとんどの人々が、英語(外国語)ができないのは、自分がいけないと思い込んでいるが、これも戦後、日本政府が日本人を外に出さないために、仕組んだものの一つ.それに、現在では塾や英語教室などが収益を上げるために、学校教育を充実させようとはしていない.

インターネットを毎日見て情報を得ている人々は、今回の原発事故で如何に政府がウソを付き続けていたかに気付いているが、そうでない人々(情報源がテレビや新聞だけ)は相変わらず政府を信用し続けている.日本の政府もいわゆる(日本を含めた)世界の大企業の言うなりになっているので、あまり日本政府が悪いとは言いたくないが、何しろこのままでは、世界は人類の滅亡まで利益のために食いつぶされてしまう.

ツァイトガイストの運動は、この利益のみが優先する貨幣主義を止め、地球の資源をベースにした「持続可能な世界」を作ることが目的だ.そのためには、まず世界の悪の根底にあることを理解しなければいけない.あらゆる宗教や現在の貨幣主義は人を「奴隷」にする目的がある.金持ちは金持ちで、更なる利益のための借金をする.消費者はモノが必要だと思い込まされ、それを買うために借金をする.そうやって人々を永久に借金から逃れられない状態に・・・・

人類の技術は、例えば50年や60年保つ携帯電話やパソコンを作れるが、そうすると貨幣主義は行き詰まってしまう.だから製品は必ず数年で壊れるように作られている.これが世界中で問題になっている、処分できない廃棄物になり、後進国へ輸出し、そこを環境汚染している.ファッションやモノの雑誌は、人々を次から次へ消費する方向へ向かわせる.お中元、お歳暮、クリスマス、バレンタインなどは、人々を無理矢理にお金を使わせる方向へと導く典型だ.日本の「テレビのデジタル化」も同じように大量消費を促すことが目的で政府が決定した.家やマンション、更には公共事業でも同じように「すぐに壊れる」作り方をしている.

ベルギーはこのような日本や米国式の大量消費思想は、一応免れたと思う.建設されてから何百年も経っている建築物が普通にどこにでもあるし、新しい建物も基準がとてもきびしいので、その時の最高の素材や技術と最高のデザインで建てられたものが多いのでとても美しい.その代表はEU議事堂だと思う・・・実はブリュッセルも戦争の時に連合軍(米英)が非常に酷い爆撃をしたのだそうだ.(それで日本にあるような安っぽい建物もいくつかある)

あなたがもし、自分で戸棚を作ろうとしたら、1〜2年で壊れるものを作りますか?利益が目的の製品はすぐ壊れて、また買ってもらうことが優先する.だから1万円のモノが1年で壊れ、直そうとしたら部品代や修理費に例えば9千円かかる.それなら千円足して新品を買った方が良くなる.だけど、資源を考えると壊れた部品だけを取り替えて、限りある資源を節約し廃棄物を減らす方が良い.

私が住んでいるところの近くに、本物の靴屋さんがある.「本物」という意味は、自分でゼロから靴を作り売っている職人.イタリアで同じように自分で靴を作っているお店でサンダルを買ったことがある.決して特別に高いものではなく、履き心地抜群だった.で、普通の靴もそういう職人が作ったものをほしいと思っているが、その近所のお店は7月からずっと「バカンス」だそうだ.いまだに開けていない.自分が作る靴には自信がある、それで生活する分だけ仕事をする.こんな職人がまだまだベルギーには沢山いる.残念ながら減少傾向にはあるようだ.特にブリュッセル中心部では、利益を最大に上げることだけを目的にした国際企業が次々に進出し、職人のお店はなくなりつつある.(7月はセールの月、この国ではセールというのも法律で期間が決められている.靴が必要で何度かそういう大量生産の靴屋へ見に行って「安さ」に魅かれたが、結局買わなかった)

まず、現在の市場主義を壊し、次の持続可能な社会へ移行するには、次のことを実践しなければいけない:

  • できるだけ消費をしない.モノを買わない.
  • どうしても消費をしなければいけない時は、小さい会社を選ぶ.有名企業よりは無名企業.コカコーラより三ツ矢サイダーアサヒビールよりえびすビールまたは地元ビール.チェーンのお店よりマスターが独りでやっているお店・・・
  • そしてできるだけ近場で生産されたもの.外国製より日本製.こうすることで、運搬による環境への負担を減らすことができる.
  • もし本物の職人がいるならその人が作ったものを買う.
  • 銀行は地方銀行や小さい方を選ぶ.借金は絶対にしない.
  • 不動産は買わない.特に東京や横浜などの大都市や首都圏で、地震があった場合(ひびが入っただけでも)ほぼ全額の損出になる.だれも補償しないから.
  • 新聞、雑誌、本等の印刷物は買わない、図書館を利用するかパソコンを利用する.
  • テレビは買わない、見ない.有害なだけなので、すべてパソコンを利用する.
  • 生活のための仕事以外は、無給で好きなことを沢山やってみる(ボランティア、サークル、趣味の会を運営する、等など)
  • できるだけ肉は食べない(動物愛護や環境のため)
  • お歳暮などの不必要な贈答はしない、丁寧に理由を説明し断る.
  • 百円ショップでモノを買わない(後進国での子供の労働や搾取をしている)
  • ペットボトルの飲み物やビニール・プラスティックを買わない(最大の環境汚染)

以上今思いつく、私が長年やっていること.
横浜で11年間飲食店をやっていた時、どんなに「ベルギービール」(しかも某醸造元に知り合いがいても)を置くように言われてもできなかったのは、遠くからのモノを扱うのは「非常に環境に良くない」ことを知っていたから.